第40話
おみくじを引きに行こうとしたが、人で溢れている。
「また並ぶことになりそうだな」
「こっちの方は空いてるぞ」
葛西は空いているところを見つけた。
「二分の一くらいしかいないな」
俺と葛西は空いているところに移動した。
「ここならそんなに並ばないで住みそうだな」
「そうだね」
あっという間に俺と葛西の番になった。
百円玉を入れて、みくじ箱を振った。出てきたみくじ棒の番号を見ると、二十八と書いてあった。棚から二十八と書かれたところを探し、そこからみくじ紙を取り出した。見ると、凶と書いてあった。初めて引いた凶に言葉を失った。
「どうだった?」
「凶だった・・・」
「俺、大吉だったー」
葛西のみくじ紙を見ると、一番大吉と書いてあった。
「すごいな」
「日頃の行いがいいから当然だな」
「そっか・・・」
かなり悲惨なことが書かれている。「付き合い:悪いでしょう」どうすればいいのだろうか?
「そんなに落ち込むなって」
「大吉に言われたくないな」
「結べばいい方向に進んでいくらしいよ」
「そうだな」
俺はおみくじかけに凶のみくじ紙をとてもキツく結びつけた。
「もう一回引くか?大吉だから俺は引かないけど」
「もういいよ」
「じゃあ、露店の方に行こう」
「わかった」
俺と葛西は露店の方に行った。露店の周りに人はいるが、みんな通り過ぎるだけだからすぐに買えそうだ。
「何か買う?」
「チョコバナナ食いたい」
そう言って、葛西はチョコバナナを買いに行った。
「買ってきた!」
「子供みたいにはじゃぎやがって」
見ている俺が恥ずかしいくらい葛西はチョコバナナを持ってはしゃいでいた。
「恥ずかしくないのか?」
「何が?」
「高校生がチョコバナナ持ってはしゃぐって・・・」
「高校生も買うっしょ」
そう言って、葛西は食べ始めた。
食べ終えると、満足したのか葛西は落ち着きを取り戻した。
「人多いから違うところ行かない?」
と葛西が言ってきた。
「そうしよう」
俺と葛西は浅草駅に向かい始めた。
「この後、どうする?」
と聞くと
「秋葉原いこ」
と即答で返事が返ってきた。
「なんで正月に秋葉原なんだよ?」
「フィギュアの福袋があるから」
「そうか・・・」
「とりあえず、いくぞ」
そんなことで、秋葉原に行くことになった。
・・・
秋葉原に着き、俺と葛西はラジオ会館に向かった。
「やっぱアキバが一番だな」
「よかったな」
今日一番と言っていいほど、葛西は生き生きしている。そんなことを思っていると、ラジオ会館に着いた、元旦だがらあまり人がいないと思っていたが、入り口の福袋コーナーにはたくさんの人が集まっていた。
「こんなに人がいるんだ・・・」
「何立ち止まってるんだよ。早く行くぞ」
そう言って、葛西は人混みの中に飛び込んで行った。俺もその中に恐る恐る入って行った。棚には、たくさんのアニメキャラクターのフィギュアが紙袋に入った状態で売られている。
アニメは見るが、グッズを買わない俺はフィギュアの価格を見て驚いた。円盤が買えるくらいの金額はする。これを葛西はいくつ買うのだろうか?そんなことを思っていると
「ちょっと、そこのフィギュア取ってくれない?」
と葛西が言ってきた。
「どれ?」
「これ!」
俺は葛西が指差すフィギュアを手に取った。
「これでいいの?」
「ありがとう」
「これ買うの?」
箱の値札を見ると、税抜二万円を書かれていた。
「ちょっと買えないな」
「そうか」
「戻しておいて」
俺は元あったところに戻した。
「ちょっと買えないから中に入ろ」
俺と葛西はラジオ会館の中に入った。中は外以上に人が多い気がする。エスカレーターは人が乗りすぎていて、ミシミシと音を立てながら動いている。そんなエスカレーターに俺と葛西は乗った。そして三階にきた。
「ここなら何か買えるかもしれないな」
「そうなのか?」
初めてのラジオ会館だからここに何があるのかよくわからない。
すると、葛西はアクリルスタンドを見つめていた。
「どうした?」
「これ買おうかな」
葛西が指差していたのはこれから二期が始まるアニメの主人公のアクリルスタンドだった。
「いいんじゃない?」
「じゃあ買ってくる」
そう言って、葛西はレジに行った。値段が気になった俺は袋の後ろに貼ってある値段を見る。すると、二千円と書かれていた。フィギュアの二分の一だと思っていると、
「買ってきた」
「よかったな」
葛西は満面の笑みでアクリルスタンドの入った袋を持っている。
「他どこか行くの?」
「フィギュア売ってるところに行こう」
「行ったって買えないじゃん」
「中古で買えるところがあるから」
「そうなの?」
「とにかく行こう」
そう言って、葛西はエスカレーターに乗った。俺もその後を追いかけた。
初詣を終え、俺と葛西は秋葉原のアニメショップをずっと徘徊していた。
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