第35話

 スタバから出た後、俺と麻里奈は縁結びで有名な神社に来ていた。


「ここの神社は縁結びの神様がいるんだってー」


「そうなんだ」


「とりあえず、お参りしよー」


「そうだね」


 鳥居をくぐり、参道を歩く。縁結びで有名だからか、多くのカップルがいる。


「わ、私たちもお賽銭入れよっか」


「そうだね」


 俺は財布から五十円玉を取り出して、お賽銭箱に入れた。俺は、麻里奈と末長く幸せで言われますようにと神様にお願いした。


 俺は目を開けて、麻里奈の方を向いた。すると、麻里奈はまだ真剣に祈っていた。しばらくして、やっと目を開けた。


「待たせちゃってごめん」


「大丈夫だよ」


 そう言って、おみくじのある方に向かった。


「真剣に祈ってたね」


「うん、たくさん願い事あったからー」


「そうだったんだ」


「直人はどんな願い事をしたのー?」


「言ったら叶わなくなっちゃうから言わない」


「そうだったー」


 そんなことを話していたら、おみくじのあるところに来た。ここのおみくじは鯛みくじと呼ばれ、鯛の尻尾におみくじが入っているものだ。


「これ、インスタに上がってたやつだー」


 麻里奈はとてもテンションが高い。


「そうなんだ」


「これやりたーい」


「いいよ」


 俺と麻里奈は竿を使って、たくさんいる鯛の内から一つ釣り上げた。


「釣れたー」


 尻尾に入っているおみくじを取り出した。おみくじには大吉と書いてあった。


「やった、大吉だー」


「すごいね」


「麻里奈はどうだったー」


 そう言うと、広げたおみくじを見せてきた。


「私は吉だったー」


「吉も方が大吉よりいいっていうよね」


「そーなのー?」


 大吉は、一番上だから運勢が段々と下がっていくと聞いたことがある。俺の絶頂は今ということなのだろうか?


「内容見たー?」


「まだ見てない」


 内容を見て驚いた。全くと言っていいほど良いことが書かれていない。しかし、願望と恋愛だけは、この調子で良いと書かれていた。


「私って最強かもしれない」


「そうなの?」


「だってこれ・・・」


 そう言われ、麻里奈のおみくじを見ると、ほぼすべてと言っていいほど今のまま継続せよと書かれていた。


「よかったね」


「直人はどうだったのー」


「結構やばい・・・」


病気やまいのとことか終わってるね」


 そう言われるのも仕方ない。なぜなら、誤診があると書かれていたからだ。


「どうしよう」


「大丈夫だよー」


「麻里奈に言われても・・・」


「私が守ってあげるから」


 恥ずかしげもなくそんなことを言ってきた。


「あ、ありがとう」


「あそこに結んでこよっか」


「そうだね」


 俺と麻里奈は、おみくじを結んだ。


「お守り買って行かない?」


「いいね」


 お守りを買いに、授与所に行った。授与所には、たくさんのお守りがあってどれを買うべきかとても悩む。


「縁結びとか買わない?」


「俺たち付き合ってるのに?」


「それもそっかー」


 そんなことを話していると、


「付き合っている方も縁結びのお守りを授かりますよ」

と巫女さんが話しかけてきた。


「そーなんですか?」


「はい、このお守りを持っていると、今以上に深い関係になれると言われていますよ」


「なるほど」


 麻里奈は、その話のとても食いついて聞いていた。


「じゃあ、二つ買おうか」


「そーしよー」


 俺と麻里奈は、縁結びのお守りを買った。早速、麻里奈は肩からかけているバックにお守りを付けた。


「もう付けたんだ」


「うん、直人ともっと深い関係になりたいから」


「俺もつけようかな」


 俺もバックにお守りを付けた。


「これでお互い、深い関係になれるねー」


「うん、もっと麻里奈といい関係になれそう」


 そういうと、麻里奈は顔を少し赤くした。


「顔、赤くない?」


「だ、だって急にそんなこと言うんだもん」


「麻里奈だっていつも言うじゃん」


「そ、そんなでもないよ・・・」


 少し恥ずかしがっている麻里奈も可愛い。


「そろそろ出よっか」


「そうだね」


 俺と麻里奈が神社を出ようとした時、横を浴衣姿のカップルが通り過ぎた。


「今度は、浴衣デートしようね」


「う、うん」


「どんな浴衣がいいかなー・・・」


 麻里奈の浴衣姿を見たら、可愛すぎて倒れてしまうかもしれない。


「直人ってばー」


「な、なに?」


「さっきから全然聞いてくれないじゃん」


 麻里奈は少し怒り気味に言ってきた。すると、俺の前に回ってきた。


「あー、顔が赤くなってる。変なこと考えてたでしょー」


「ち、違うって・・・」


 そんなことを話しながら、俺と麻里奈は神社を出た。

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