SIDE B

 天野とジェームズは、バイトを終えた後、渋谷に向かった。


「スズキクン、ジョウズニデキマスカ?」


 ジェームズは不安そうに天野に問いかける。


「多分、大丈夫だと思うよー」


 そう言いつつも、天野は心配だからジェームズと一緒に青の洞窟に行き、鈴木の様子を見に行くことにした。


 天野とジェームズは、山手線の内回りに乗り換えようとしたが、人が多過ぎてなかなか電車に乗り込むことができない。


 予定より少し遅れて渋谷に到着した。休日のクリスマスイブだからか、駅の外に出ても人は全く減らない。むしろ、外の方が多いかもしれない。ハチ公口は、カップルやユーチューバーなどでごった返していた。


 ジェームズは、初めての渋谷に少し興奮していた。すると、


「青の洞窟の方に行こう」

と天野が言った。


「ソウデスネ」


 天野とジェームズは、けやき並木の方に向かった。現地につけばすぐに見つかると思っていたが、周りを見渡しても人だらけで二人は、鈴木と米村を見つけることができない。似たようなカップルを見つけたりしたが、鈴木と米村ではなかった。


「どこにいるかな?」


「モットアッチ、イキマショウ」


 二人はさらに奥にあるクリスマスマーケットの方まできた。しかし、鈴木と米村は見つからない。


「諦めるか・・・」


 そう言って、天野とジェームズは渋谷駅の方に向かい始めた。すると


「アレ、タブンスズキクンデス」

とジェームズが指差していた。


 ジェームズが指差す方を見ると、ラウンドマッシュの鈴木が米村と一緒に立ち止まっていた。


「鈴木くん、髪型変えたんだ・・・」


 天野とジェームズは、近からず遠からずの距離で二人の様子を見ていた。すると、鈴木と米村は抱き合っていた。


「成功したみたいだね」


「ヨカッタデスネ」


「俺たちいなくてもよかったね」


 天野は、変に心配し過ぎていた。


「サムイカラカエリマショ」


「そうだね」


 天野は、心の中で「俺も彼女が欲しいなぁー」と大声で叫びながら、渋谷駅まで歩いた。




 







  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る