第25話

 色々なところを見ていたら、あっという間に日が暮れ、外はネオンの光でいっぱいになっていた。


「そろそろ行こうか」


「うん、そうしよー」


 俺と麻里奈は、青の洞窟に向かった。青の洞窟に向かう途中、辺りを見渡すとカップルだらけだ。この道はまるで恋人たちのために用意されているようだった。


「すごい人だね・・・」


「クリスマスイブだから尚更だねー」


「そうだね」


 俺と麻里奈は、渋谷公園通りに来た。あたりの木々が青く光っている。道の先を見ると、ずっと青いイルミネーションが続いている。


「キレイだね」


「うん・・・」


 麻里奈は、イルミネーションに見惚れていた。俺もあまりの明るさに驚いた。今まで見てきたイルミネーションとは比にならないくらい明るくてキレイだ。


 しばらく歩くと、メイン会場のクリスマスマーケットについた。そこには、飲食ブースなどがあった。そこで、俺と麻里奈はレモネードを買った。俺がレモネードを飲んでいると


「ツーショット写真撮らない?」

と麻里奈が聞いてきた。


「うん、撮りたい」


 そういうと、麻里奈はバックからスマホを出した。そして、一緒に撮った。すると


「写真撮りましょうか?」

と大学生くらいのカップルが声をかけてきた。


「お願いしてもいいですかー?」


「いいですよー」


 そう言われると、麻里奈は男の人にスマホを渡した。


「撮りますよー」


 その掛け声に合わせて、麻里奈は俺の腕に抱きついてきた。


「こんな感じでどうですか?」


 そう言って、麻里奈にスマホを返した。


「ありがとうございます」


 そういうと、カップルはどこかに行ってしまった。


「写真、送るね」


「ありがとう」


 電波が悪いからか、なかなか写真が送られてこない。送信から五分後に写真が届いた。


「やっと届いた」


「人が多いから電波が悪いねー」


 そんなことを話しながら、クリスマスマーケットに出店されているアクセサリーショップに行った。


「この指輪、すごく可愛い」


 そう言って指差していたのはルビーの付いた指輪だった。確かにとてもキレイな指輪だ。


「私、誕生石がルビーなんだよねー」


「プレゼントするよ」


 俺がそういうと、


「いいよ、結構いい値段するからー」

と両手を振りながら言った。


「いつも奢ってもらってばかりだから・・・」


「あれは私が勝手にやってることだから気にしなくていいのに・・・」


「じゃあ、俺が勝手に渡してきたことだと思ってくれていいから」


 俺はそのルビーの指輪を手に取って、店のおじさんのところに持って行った。


「俺からのクリスマスプレゼント」


 俺は麻里奈にルビーの指輪をプレゼントした。


「ほ、ほんとにありがとう」


 そう言って、麻里奈はケースからルビーの指輪を出し、左手の薬指につけた。


「大切にするね」


 その後、俺と麻里奈は色々と出店を見たりした。


 俺はそろそろ麻里奈に告白をしたいが、人があまりに多過ぎて告白するタイミングが掴めないでいる。そのうち、告白する雰囲気になるだろう。そんなことを思っていると、


「そろそろ帰ろっか」

と麻里奈がつぶやいた。


「そ、そうだね」


 告白をするタイミングを見つけられないまま、渋谷駅の方に向かうことになってしまった。


 俺は、少し焦っている。多分、今日を逃したら告白することはできないだろう。そんなことを思っているとあることを思い出した。天野さんが送ってくれたPDFに薄暗くなっているところがあると書いてあった。


 しばらく歩いていると、イルミネーションの明かりが薄暗くなってきた、。俺は、そこに立ち止まった。


「直人、どうした?」


 麻里奈は、少し俯いた俺を心配そうに見つめていた。


「俺、麻里奈に伝えたいことがある」


「そ、そうなんだ」


 麻里奈は、突然のことに驚きを隠せていなかった。


「ずっと、麻里奈のことが好きだったんだ」


 俺は、勇気を振り絞って自分の気持ちを麻里奈に伝えた。ヘタレな俺は、怖くて麻里奈の顔が見れない。すると、


「私も直人のこと大好きだよー」

と言って抱きついてきた。


「そ、そうなの?」


 俺は、両思いだったことに驚きを隠せない。


「好きじゃなかったら、休日一緒にいないし。それにお弁当だって作ってあげてないよー」


 そう言われ、俺も麻里奈に抱きついた。


「俺と付き合ってくれる?」


 麻里奈の耳元で囁いた。


「うん!もちろん」


 俺は、大好きな麻里奈と付き合うことになった。あまりにあっさりと告白に成功してしまって驚いた。


 俺と麻里奈は、しばらく歩道の隅で抱き合っていた。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る