第18話

 テスト一日目、俺はいつもより早く家を出た。そのせいか、信号に引っ掛かることなく、学校に着いた。


 教室に入ると、みんな黙々勉強をしていた。俺もリュックから勉強道具を出そうとすると、


「今日早くね?」

と葛西が声をかけてきた。


「なんとなく早くきてみた」


「これ、ワーク」


 そう言って、葛西は物理基礎のワークを俺の机の上に置いた。


「本当ごめん」


「別にいいよ」


 そういうと、葛西は席に座った。俺は、ホームルームの時間まで歴史総合の教科書を見ることにした。


・・・


 テスト一日目が終わり、俺は家に帰った。家に帰り、適当に昼食を済ませて、テスト二日目の科目の勉強を始めようとした。その時、インターホンが部屋中に鳴り響いた。玄関を開けると、米村さんが立っていた。


「どうした?」


「私の部屋で一緒に勉強しない?」


「いいよ」


 俺は、米村さんの部屋で勉強をすることになった。そして俺は、教科書とワークを持って米村さんの部屋に入った。


「お邪魔します」


「どうぞー」


 俺は、いつも通りローソファーに座った。すると、米村さんが紅茶を持ってきてくれた。


「ありがとう」


「この紅茶、鈴木くんが止めてくれた時に出してくれたやつなんだよー」


 ティーパックの札を見ると俺の家にあるオーストラリア発祥の紅茶だった。わざわざオーストラリアから取り寄せたのだろうか。


「どうやって買ったの?」


「公式の通販から買ったのー」


 公式の通販で買えるんだ。俺は、オーストラリアに住んでいる親戚が送ってきてくらるから知らなかった。


「そろそろ、勉強しよっか」


「そうだね」


 そう言って、俺と米村さんは勉強を始めた。俺は、言語文化の勉強を始めたが全く理解ができない。中学生の時はそれなりに古文はできたが、高校に入ってから全く追いつけなくなった。


「古文やってるの?」


「うん、だけど全然わかんない」


「むずいよねー」


 そう言って、米村さんも言語文化の勉強を始めた。俺は、スマホで古文の訳を見ながら学校で配られたプリントを解くことにした。


 一時間後、頑張ってみたが全く理解出来なかった。言語文化は諦めよう。俺は、違う科目のワークをやることにした。



・・・



 ワークの丸つけを終えて、スマホを見ると、午後五時を過ぎていた。米村さんの部屋で四時間くらい勉強をしていた。ふと、米村さんの方を見ると、頭をガラステーブルにつけて寝ていた。起こすべきか、このままにしておくか考えていると、


「うーん」

と言って頭を上げた。


「おはよう」


「もしかして私寝てた?」


「しっかり寝てたよ」


「マジかー」


 米村さんは、やらかしてしまったという表情をしていた。


「昨日寝るの遅かったの?」


「うん、日付跨いで寝た」


「そうだったんだ」


 それだと眠たくなってしまうのも頷ける。テスト週間は、いつもそんな生活を送っていると思うと米村さんの体調を心配してしまう。


「今日は早く寝たほうがいいよ」


「そーだね」


 そう言って、米村さんは掛け時計を見た。


「やば、もうこんな時間じゃん」


「そろそろ帰ろうかな・・・」


 そう言うと、


「夕飯どうするの?」

と聞いて来た方


「特に考えてないけど・・・」


「デリバリーしない?」


「ここら辺来てくれるの?」


 俺が不安げに聞くとドヤ顔でスマホの画面を見せてきた。


「お届けの範囲に入ってるよー」


「本当だ」


 こんな田舎にデリバリーが来ることに驚いた。


「どれ頼むー?」


「そうだな・・・」


 俺と米村さんは、ダブルチーズバーガーのセットを頼んだ。米村さん曰く、ここだと二十分くらいで届くらしい。


 二十分後、インターホンが部屋中に響き渡った。


「受け取ってくるよ」


 そう言って俺は、玄関を出た。


「受け取ったよ」


「ありがとう」


 俺は、ハンバーガーの入った紙袋をテーブルの上に置いた。そして、教科書などをテーブルの隅っこに寄せた。


「じゃあ、食べよっか」


「そうだね」


 俺と米村さんは、ハンバーガーを食べ始めた。俺がハンバーガーを持っていると小さく見えるが、米村さんが持っていると少し大きく見える。そんなことを思っていると


「思ったよりも大きいね」

と米村さんが言ってきた。


「そうかな?」


「もう少し小さいと思ってた」


 そんな会話をしていたら、俺のスマホがブルブルとポケットの中で揺れている。


「ちょっとごめん」


 俺はそう言って、米村さんの部屋を出た。発信元を見ると、葛西からだった。


「もしもし」


「どうした?」


「明日の放課後って暇?」


「暇だけど・・・」


「学校の図書室で勉強しない?」


「まあいいけど」


「じゃあ、よろしく」


 そう言って、葛西は一方的に電話を切った。俺は、米村さんの部屋に戻った。


「誰からだったのー」


「葛西からだった」


「そーだったんだー」


 俺は、食べかけのハンバーガーとポテトを勢いよく食べた。その姿を見たからか


「よくこんなに食べれるね」

と米村さんが言ってきた。


「お腹空いてたから・・・」


「なるほどねー」


 そんな話をしながら、俺は米村さんと食事をとった。


 食事を終え、俺は自分の部屋に戻ることにした。


「明日も頑張ろうね」


「そうだね」


 そう言って、俺は米村さんの部屋を出た。







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