第2話
「コンビニで下着買って来てもいい?」
米村さんは、少し恥ずかしいそうに言った。
「いいけど、一人で大丈夫?」
「うん、すぐそこだから」
そう言って、米村さんは家を出ていった。
俺は、米村さんがいないうちにシャワーを浴びることにした。コンビニまでは、歩いて五分くらいだから米村さんに裸を見られるということはないだろう。
俺は、シャンプーが切れていることに気がついた。俺は、慌てて洗面所から替えのシャンプーを取り出す。手が濡れているからか、滑ってなかなかポンプを外すことができない。
なんとか、シャンプーの詰め替えをして、無事に髪の毛を洗った。そして、俺は風呂からあがった。すると、「ガチャ」とドアが開く音がした。多分、米村さんが帰ってきたのだろう。
俺は慌てて、バスタオルで体を拭き、下着を着る。そして、パジャマを着ようとした時、
「鈴木くん・・・」
米村さんが洗面所に入ってきてしまった。
「ご、ごめん」
そう言って、慌てた様子で米村さんはドアを閉める。俺は、パジャマを着て洗面所を出た。
「さっきはごめん」
米村さんは、顔を赤くして俺に謝ってきた。
「大丈夫だよ。米村さんもシャワー浴びる?」
「浴びてこようかな」
「わかった。ちょっと外出てるからシャワー終わったら連絡して」
「私、鈴木くんの連絡先知らない」
そう言えば、連絡先をお互い知らない。俺と米村さんのクラスには、グループラインがない。だから、クラスメイトでラインが繋がっている人は、男以外あまりいない。
すると、米村さんがスマホ出して
「QRコード見せて」
と言ってきた。
俺は、ポケットからスマホを出してQRコードを読み取る。
「じゃあ、シャワーから出たら連絡するね」
「わかった」
俺は、パジャマのまま家を出た。濡れ髪のまま、外に出たからかとても寒い。とりあえず、家の周りを歩き回ることにした。歩いていると、スマホがブルブル震えている。ポケットから取り出して、電話に出ると同じクラスの葛西誠からだった。
「もしもし、直人ゲームやろ?」
「今、外にいる」
「なんで?」
「実は、・・・」
俺は、誠に米村さんを一日家に止めることを話した。
「えー!?嘘でしょ」
「だから、本当だって」
「なんで止めることになったの?」
「俺の部屋の隣に米村さんが住んでて鍵を無くしたみたいなんだよね」
「そういうことか」
葛西は、少し落ち着きを戻した感じだ。
「米村さんに変なことするなよ」
「しないって」
「まあ、そんな度胸は直人にはないよな」
少し小馬鹿にされたような気がして悔しかった。
「このことなんだけど、ここだけの話にしてくれる?」
「もちろん、もしこのことがバレたら米村さんのファンから睨まれるよ」
「そうだな」
「じゃあ、ゲームは他の奴誘うよ」
「そうしな」
「じゃあな」
「おう」
誠からの電話を切って、ラインを見ると米村さんからメッセージが届いていた。内容は、シャワーから出たということだった。俺は、街灯の少ない道を歩いて家に向かった。
家に戻ってきて、リビングに行くと米村さんはイヤホンをつけてスマホを見つめていた。俺が米村さんの目の前に行くとイヤホンを外して
「お帰りなさい」
と言ってきた。
「ただいま」
「イヤホンつけてたから気が付かなかった」
シャワーに入ったから米村さんは、すっぴんだった。俺は、米村さんのすっぴんを初めてみた。
「そ、そんなにジロジロ見ないでよ」
「ごめん」
米村さんは、少し顔を赤くしている。このままだと、気まずくなりそうだから
「なんか音楽聴いてたの?」
と聞いた。
そう聞くと米村さんは、スマホの画面を見せてきた。画面には、去年の夏に公開された恋愛映画だった。
「もう配信されてるんだ」
「そう、去年見たかったけど見れなかったんだよねー」
「そーだったんだ」
「鈴木くんも見る?」
「いいの?」
「いいよ」
俺は、米村さんの隣に座った。すると、米村さんは肩を近づけてくる。
「近くない?」
「だって、スマホが小さいんだもん」
そう言って、米村さんは映画を再生した。今まで、恋愛ものは見てこなかったが飽きずに最後まで見ることができた。
米村さんと映画を見ていたら、時刻は一時を過ぎていた。そろそろ寝ないと明日の朝がしんどい。
「そろそろ寝ない」
「そうだね。どこで寝たらいい?」
俺の部屋には、シングルベットが一つしかない。米村さんにベットを使ってもらって、俺は床で寝よう。
「ベットで寝ていいよ」
「鈴木くんはどこで寝るの?」
「俺は、床で寝るよ」
「それだと、風邪引くよ」
「大丈夫、ブランケットがあるから」
「本当にいいの?」
「いいよ」
俺がそういうと、米村さんは俺のベットに横になった。俺は、クローゼットの中からブランケットを取り出し、床に寝た。
一時間後、俺はまだ寝付けない。なぜなら、とても寒いからだ。
「鈴木くん、まだ起きてたの?」
と米村さんが話しかけてきた。
「寒くて寝付けないから起きてた」
俺がそういうと、米村さんは布団から起き上がって
「一緒に入ろ」
と言ってきた。
俺は、戸惑いを隠せない。学校一可愛いギャルと同じベットで寝るなんて絶対に俺の理性が耐えられない。
「ねえ、早く!」
「あ、ありがとう」
俺は、米村さんと同じベットに横になった。
「二人で入ると暖かいね」
「そ、そうだね」
俺は、まるで夢を見ているようだ。俺と米村さんは、クラスメイトというだけの関係なのに、一緒のベットにいる。ギャルってみんなこんな感じなのだろうか。
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