第4話

大会本番まであと一週間。


(二競技出るつもりだったが100メートルの方しか出れそうにないのでい


つの間にか諦めていたのだ)


そんな中でのタイム計測。


結果は前に計った時よりも0.5秒速くなった。


つまり参考記録ぴったりだったのだ!


これには本人もびっくり。


「自信持てよ(笑)」


コーチは喜ぶより先に笑った。


そのあとに走りの改善点をみっちりと話し続けたのだとか。



ついに始まった大会。


スタートラインに立った彼。


様々な努力とコーチへの感謝を込めて地面を踏みしめる。


「…ッパン‼‼」


耳が痛くなるような音とともに全員が走り出す。


決着はすぐについた。


順位はなんと、2位!(知ってた)


88888888 観客から拍手が送られる。


大事なタイムは・・・参考記録から0.2秒速く、世界選手権への出場権を


獲得した。


息が上がった彼。


走っていないのに息が詰まりそうになっているコーチ。


二人で喜んだ。


常に二位しか取れないことに同情してくれた記念すべき一人目だ。


ここから一か月後に世界選手権がある。


そこまでに完全に仕上げなければならない。


コーチは今までより厳しくするとケガをすると思い、今まで通りのメニュ


ーにすることにした。


世界一位に向けて加速していく。


こんな時にまた特集が組まれることになった。


正直やめてほしいと思ってもいたが、しっかりと答えた。


『特集 祝‼ 世界選手権出場 二宮二郎』

前回の特集で紹介した二宮選手が世界選手権への出場権を獲得しました。二宮選手はコーチとともに出場を目指してきました。その目標を達成した二宮選手に取材をしました。

「Q.出場権獲得おめでとうございます」

「A.ありがとうございます」

「Q.走り切ったときどんな気持ちでしたか」

「A.気持ちよかったです。ただ、結果の心配を少ししていました」

「Q.コーチとともに過ごした期間はどんなものでしたか」

「A.協力して上を目指せました」

「Q.ほかの競技にはもう出ないんですか」

「A.機会があればまた出たいです」

「Q.最後にファンの皆さんへ一言」

「A.まずは世界選手権頑張ります。応援よろしくお願いします!」


ついに彼にができた。


できたからには頑張らなければいけない。


そう心に決めて進んでいくのだった。

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