第3話

ついに始まった地獄(?のトレーニング。


皮肉にもそのコーチは一位を何度もとっている人だ。


そんなコーチに教えられているのに一位をとれなかったら見せる顔がな


い。


そう思っていた彼だが、努力をするのは好きではない。


どうにかして解放されたいとも思っていた。


ただ、相手(コーチ)はたくさん戦ってきた男。


もちろん彼が二位しか取れていないのもわかっていたし、逃げようとして


いるのもわかっていた。


彼の機嫌がよくないときはいつもより軽いメニューを、機嫌がいい時は少


しきついメニューをやらせた。


気持ちの面での余裕を持たせることで、逃げようとする心をなくさせよう


としたのだ。


単純な二郎はまんまと引っかかってみっちりとトレーニングすることにな


った。


これが‘‘馬鹿正直”というものなのか。


そういえば、彼は考えることが嫌いだった。


そんなこともあって、殆どが肉体トレーニング。技術のことはあまり教え


ていなかった。


何も教えてくれないと思った彼は自分で考えることを始めた。


彼は勝つことに向けて走り出した。


彼の目には楽しさが浮かんでいた。


彼は今までなにもかんがえていなかった。


即ち感情が常にだったのだ。


それが役に立つ競技はあるのだろうか。


そして始まったはじめてのタイム計測。


身体能力は人類の中でも一級品だ。


これまで沢山の競技に出て二位を取り続けている。


残念だが、一位を取らないといけない雰囲気になってしまっている。


そんな中でタイム計測をするのはストレスがたまるだろうと思ったコーチ


は誰も見ていないところで走らせることにした。


彼は逆に緊張して力んでいた。


タイムは参考記録から0.5秒も遅れていた。


コーチは遅くなることもなんとなくわかってはいた。


参考記録は超えられるだろうと思っていた彼は静かながら悔しがってい


た。


今度こそ一位を取りたいという思いから焦りが出てきてしまう彼。


足の使い方を変えたりスタートのタイミングをしっかり合わせたりして記


録を上げていく。


そして二度目のタイム計測。


今回は安定して速く走れている。


果たして記録はどうだろうか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る