第36話

翌日、ベースキャンプを崩して、自然に還るようにしてから、あの変態槍騎士がいた村に戻る。


帰り道はファングウルフが多数出たので、狩っておいた。ファングウルフくらい薄い魔力は、もう魔力を吸収することはできない。


魔素材も持っていないので、単に道の邪魔になるので狩る、というだけだ。


村の門番は、あのときの木こりの天恵の持ち主に変わっていた。


村長に話して、この前と同じく、空き家に泊まることにする。


前に泊まった際に掃除なども軽くしたので、空き家はキレイなままだった。


1人用のベットに寝そべると、いそいそと服を脱いだフィニ、リジーが問答無用で潜り込んできた。つまりは、何と言うか3人プレイということになる。


ことが終わると、右にフィニ、左にリジーと、ガッチリ抱きつかれて、寝ることになった。


「フィニもだけど、リジーもかなり積極的ですね。いえ、私は好きだから構いませんが…」


蛇女族ラミアって、その下半身が蛇なので、いたせるのか不明だった。が、考えてみれば、ほかの種族の男と交わらないと繁殖できないと聞いていたのだから、出来るに決まっていた。


というか蛇女族ラミア、性欲強いよ…。リジーの個性の問題かもしれないけど。


「ち、違いますよぉ!女性しかいない種族はみんな必死なんですよぉ!」

「繁殖しないといけないからでしょうか?」

「は、は、は、繁殖ってぇ!その、いや、えと、そうなんですけどぉ!」


繁殖は、繁殖だ。それ以外に言いようがない。


あーでも、私は精霊だから繁殖しにくいんだよね。


精霊になると寿命が長くなる。低位精霊なら精々が倍になる程度だが、中位になると恐らく万単位、高位精霊ともなれば、寿命がなくなる。


測ったことはもちろんないが、自分の身体を研究してそういう結論に達した。


だが寿命が長くなるほど、着弾率が下がる。まぁ、高位精霊は寿命がないので、無限に続ければ、いつかは出来るだろうから関係ない…のかもしれない。


「そういえば、蛇女族ラミアって胎生なのですか?それとも卵生なのでしょうか?私の世界の空想では卵生だったのですが…」

「ええと、それって、お腹で育てるか、卵か、ということですよねぇ?蛇女族ラミアは卵ですぅ」

「なるほど…。そのあたりも私の世界の空想と同じとは…神やら裁定者やらの関与を疑うしかなくなりますねぇ」


ところで、ああいう創作では、細かい生態に関わる描写などはされないことが多い。


しかし、実際に蛇女族ラミアのリジーを抱いてみると、改めてそう言ったことが書かれていなかったのだな、と感じさせられる。


どういうことか、と言うとだ。


こう…何と言うか、脚というか、股がないので、人間とは、どうしてもアレの位置というか、向きというかが違う。


そのために、致すとなると、最初は何となく向き?身体の位置関係?とかに違和感を覚えた。慣れてくると、そうでもなく、新鮮味もあってよかったのだが…。


ふと、リジーの下着を手に取った。


ちょうど腰辺りにタイトなスカートを穿いていたのは、そういう訳だったのだ、と感心した。下着もパンツというより、腹巻きのような感じで、横のところに留め具が着いていて面白い。


「ハルさん、そんなにまじまじと私の下着を見られてもぉ〜」

「ああ。すみませんね。人族のものと違うので好奇心が止められませんでした」


どうやら、この世界には、多種多様な種族がいるそうだ。総称して地人族と言うらしい。地人族は、要するに天恵を授かる種族のことで、30種いるらしい。


その中でいわゆる地球の人間と変わらない姿をしているのが、人族だ。


蛇女族ラミア以外にも、下半身に脚がない種族はみなこういう下着ですよぉ。人魚族マーメイドとかもそうですぅ」

人魚族マーメイドもいるのですね…」

「居ますよぉ。ほかにもこの世界には様々な種族がいますが、何故か女性だけの種族が多いのですぅ。そのため、男女比で見ると女性が圧倒的に多く、男性が恋人を複数持つ、特に異種族間で複数いるのは珍しくありません〜」


人魚族マーメイド翼女族セイレーン夜魔族サキュバス猫女族ネコマタ狐人族キュービ蜘女族アラクネ花女族アウラウネなど、女だけ種族は多いらしい。聞けばフィニの犬女族コボルトも、女しか居ない種族だそうだ。


地霊族ドワーフ木霊族エルフなどは男女ともにいるらしい。ほかにも男性だけの種族というのもあるが、それでもどちらかと言うと世界は男性不足である。だから、優秀な男性というのは引く手あまただとか。


「私の世界では男女比は同じでした。そもそもこっちで言う人族しかいませんでしたからね」

「そ、そうなんですかぁ?それなのに良く私たちを変だとか思いませんでしたねぇ」

「実は、私の世界の空想、というか作り物の物語には蛇女族も犬女族もいたんですよね。何故、私の世界の空想が、こちらで実現しているか…」


世界を跨げる、神やら裁定者やらが絡んでいるのは間違いない。


空想をこちらに持ち込んだのか、こっちの事実をあちらの空想に持ち込んだのか。


(種族に女ばかりという不自然さを思えば、あっちの空想をこちらに持ち込んだ、というのが自然だろうな)


「そういえば、ハルさんは、私やフィニさん以外の種族…女性は見たことあるんですか?」

「何故、女性限定なのかわかりませんが、ありませんよ。まだこの世界に来て1週間と少しですよ?」


女性種族を見たとか、見ないとか、この身体に乗り移ってから今日まで、そんな余裕のある状況ではなかったからな。


強くなるのに必死だった。必死だったのに、恋人が2人も出来てしまうのは何の因果かわからないが。


「しかし、この身体の、元の持ち主の方は…人間関係どうなんでしょうね。日記に全てが書かれている訳ではないでしょうからね…それは別に異種族とかに限った話ではないですけどね」


アザレアに、あれだけひどく束縛されていたのだ。女性関係どころか、話す相手すらろくに居なかっただろう。


だから、まさか精神が入れ替わってしまったことが原因で、女性関係云々で揉めるようなことは万が一にもあるまい。


(クリスハルの日記にもほとんど女性の名前の記載はなかったな…あったのは恨みを抱く相手ばかり)


ただ異種族の女性と言えば、クリスの日記にも名前があった印象的な人物もいる。


それは、クリスに対して、数少ない友好的な人物だったから記憶している。種族は、花女族アウラウネだったかな。


以前、記憶?夢?にも出てきた少女で、身分は平民らしいが、母親であるピピの関係でクリスハルの面倒を見ていて、かなり親しい間柄だったはずだ。


とは言え、数年前に何も告げずに姿を消した、とクリスハルの日記にはあった。そのことでまたクリスは絶望している。


「名前はポピーでしたね。姿を消した理由もわかりませんからね…この広い世界で再会することも、そうそうないでしょう」









※※※※※以下、連絡事項です※※※※※



いつも読んで頂きましてありがとうございます


この作品、カクヨムコンに参加しています。そのため、☆、いいね、レビュー、など是非とも頂けると幸いです。日々の執筆の励みになります。


改めてよろしくお願いします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る