7国物語～課金すればするほど強くなるゲームの世界に閉じ込めれらた無課金のプレイヤーと1,000万円のレアガチャをしたプレイヤー達の冒険譚～

第18話 神殺しの大罪人ギルガメッシュ

　1,000万円課金の手続きを終えた俺は、運命のスーパーガチャを回す。SSSSランクの【神越7巨星】のキャラが当たる事は確定している。しかし、どのようなキャラが用意されているかの説明はない。ただ、【7国物語】の理から外れた神を超越する存在とだけ明記されていた。

　『おめでとうございます！神殺しの大罪人ギルガメッシュ・ウルク・ルガルバンダが当たりました』

　正直な話、喜んで良いのかわからない。俺が引き当てたギルガメッシュ・ウルク・ルガルバンダが【神越7巨星】の中で最強なのかそれとも最弱なのか知るすべもなく、1,000万円を支払うほどのネタとしての価値があるのかは、今のところはわからないからである。ただ言える事は、勢いに任せて1,000万円という大金をつぎ込んだ事に激しく後悔していた

　いつの間にか俺の瞳からは涙が溢れていた。頭の中は真っ白になり無意識に何も考えないようにしていた。そうしないと、今にもモニターにキーボードを投げつけて、さらにパソコンを窓から外に放り出したいくらいに俺の怒りは頂点に達していた。もちろん、この怒りはゲームに対してでなく自分自身への怒りである。ネタの為、チャンネル登録者数を増やす為、再生回数を増やす為、そんな理由で10年かけて貯めたお金を全てつぎ込んだのである。数分前の俺をどうしても許せなかった。

　1時間ほど経過しただろうか・・・俺は冷静さを取り戻したと言うよりも、自暴自棄になり1,000万円もつぎ込んだ【7国物語】を存分に楽しんでやるという、前向きなのか後ろ向きなのか、どちらとも言えないテンションでゲームを再開した。

　俺はギルガメッシュ・ウルク・ルガルバンダがどういうキャラなのか説明を読む。

　ギルガメッシュ・ウルク・ルガルバンダ　18歳　男性　身長2m10㎝　体重100㎏　種族　人間と亜人のミックス。500年前に人間の国を支配したウルク王国の国王ルガルバンダと亜人『狼族』の王女ニンスンの間によって生まれた子。異種族間では子供は出来ないが、黒龍神アルマゲドンの力によって神の理を逸脱して生まれた禁断の子として生を受ける。

※ギルガメッシュが生まれた背景

　国王ルガルバンダは、国民を総動員し世界中の緋緋色金をかき集め、黒龍神アルマゲドンに捧げる事によって、人間の最上職であるブレイブ(勇者)【Sランク】の力を得る。また、集めた緋緋色金の残りで多くの兵士達を上位職のパラディン(聖騎士)ワイズマン(賢者)グレイトウイザード(大魔法使い)バーサーカー(狂戦士)【4つの職業はAまたはBランク】に転職させた。これにより人間は、他種族と同等の力を得ることが出来た。数で勝る人間が他種族と同等の力を得たことで、ルガルバンダは地上の征服に動き出す。最初に陥落したのは亜人国家ウルフグランデルであった。勝利を収めたルガルバンダであったが、獣人族、エルフ族、ドワーフ族が同盟を組んだ事により戦況は拮抗し、遠征を断念せざる得なくなった。

　しかし、ルガルバンダはこれで諦める事はしなかった。ルガルバンダは、さらに緋緋色金をかき集めてある秘策を実行した。それは亜人国家の王妃人狼族のニンスンを側室に迎え入れ、黒龍神アルマゲドンの力によって、ルガルバンダとニンスンの子を作る事であった。異種族間の交配で子供が生まれる事は無い。しかし、黒龍神アルマゲドンの力を借りる事によって、禁断の子ギルガメッシュが生まれた。

　ギルガメッシュは亜人と人間のミックスであり生まれながら人間を遥かに凌駕する身体能力を得る事になる。

　ルガルバンダは自分の代では果たせなかった地上征服の野望をギルガメッシュに託すことにした。ルガルバンダは、国民、亜人を酷使して、世界中から緋緋色金を集め、人間の神である黒龍神アルマゲドンと亜人の神である幻龍神ヨルムンガンドに緋緋色金を渡し、ギルガメッシュは神職業である暗黒騎士となる。地上最強の戦力と地上最強の戦士を手にしたルガルバンダは、暗黒騎士ギルガメッシュを新たな国王に任命し地上制覇の夢を託した。しかし、ギルガメッシュが最初にとった行動は、ルガルバンダの首を刎ねた事であった。その後、たった一人でウルク王国の精鋭部隊を滅ぼし、最後には黒龍神アルマゲドンの三つの首を刎ねて息の根を止めた。神を失った人間は神から授かる事が出来た職業の力を得る事ができなくなり、この日を境に地上最弱の種族に成り下がる。いままで奴隷のように虐待されていた亜人たちは、自由を求めて人間と戦い、神の力が使えなくなった人間が亜人に勝てることはなく、ウルク王国は三日後に崩壊した。神を殺し人間を裏切ったギルガメッシュは神殺しの大罪人として国を追われ姿を消した。

　※補足　黒龍神アルマゲドンは人間が崇拝する神である。【7国物語】の世界では７龍神が存在し種族によって信仰する神が異なっている。黒龍神アルマゲドンは三つ首の龍であり、７龍神のうち3龍神を司る。龍神は不用意に力を授ける事を禁じらているが、黒龍神アルマゲドンは過度に人間に力を与えて、世界の序列を乱したのであった。

　「神殺しの大罪人ギルガメッシュかぁ・・・かなり強そうだな。それで、装備品やスキルなどはどうなっているんだ？」

　【神越7巨星】は【7国物語】の世界では存在しない装備品を着用し、究極魔法、レアスキルなどを習得していると記載されていた。ギルガメッシのキャラ設定は理解できた。次に知りたいのは装備品などである。

　※装備内容

　黒龍神の鎧　黒龍神の胴体の一部で作られた漆黒の鎧。オリハルコンより堅いのにスポンジのように軽い。究極魔法、レアスキルさえ無効にする最強の鎧。

　黒龍神の三面顔兜　黒龍神の三つの頭から作られた兜で三つの龍の顔を持つ。正面から冷徹、憤怒、瞑想になり、三面顔を切り替える事によって使えるレアスキルが違う。

　神殺しの超大剣　黒龍神の尻尾から作られた大剣。縦に2m横に１ｍの盾のような大剣。縦にすると剣になり横にすると盾になるのではなくハンマーのような鈍器に変わる。重さは1トンを超える。神を殺す事ができる神滅剣の一つでもある。

　黒龍馬　黒龍神の翼を依り代として生命を与えられた漆黒の牝馬。体高２ｍ20㎝もある巨漢馬。念話でナビゲーターとしてプレイヤーのサポートをしてくれる。町に入る時は小さな女の子に変身する。

　※初期レアスキル・究極魔法　

　異次元ポケット　何でも即収納即取り出しできる便利な収納レアスキル。

　黒龍神の領域　　戦闘時に発動するレアスキル。戦闘が始まると世界の速度が遅くなる。

　ギルガメッシュは魔法は使えません。

　ストーリを進めて行くにつれてレアスキルが解放されます。

　俺が1000万円を投入した手に入れた【神越7巨星】の1人ギルガメッシュは、このようなキャラであった。