第6話 事情聴取?

 取調室に入るとすぐ話が始まる。


「いやー、思ったよりも早く来てくれたな。というか来るとは思っていなかったんだがな。ありがとう。」

「あ、いえいえ。流石に来なかったら家にでも来るのかな、と思いまして。」

「それはないから安心しろ。そもそもお前の家も知らないからな。名前すら知らないしな。というか、必要ないことは聞きたくないからな。」


 「個人情報の管理面面倒なんだよな。無駄に細かくて。」と、ボソッと言ってたのを俺は聞かなかったことにした。というか、俺の情報はほとんど渡していないのか。バックレればよかった。


「早速で申し訳ないんだが、昨日の状況を少し教えてくれないかな。」

「えっと、その前に、なんであのとき俺をここに呼ぼうとしたのかお添えてもらってもいいですか?」

「ああ、そうだな。実は、これまでのダンジョンと少し違うってことで軍に応援要請が入ったときに昨日のことは起こったんだ。」


 ほお、ダンジョンのことで軍に要請とは。相当異常なダンジョンだったんだろうな。


「普通のダンジョンでギルドが軍に頼ることなんてないからな。相当なことがあったんだろう、と思って一足先に現場に向かっていたわけなんだが……」

「そこでモンスターたちが出てきた、と。」

「そうだ。モンスターが出てくるとこ、いや、少なくとも爆発で消えたモンスターを見ているお前に話を聞いておこうと思ってな。今後のダンジョンやゲートの対応にも関わってくるわけだし。それでここに呼んだ、というわけだ。」


 なるほど。やはり魔法を使った、とは思っていないようだ。


「そういうことでしたか。それじゃあ、俺はどこから喋ったらいいんです?最初からですか?」

「どこからでもいいさ。彼女がいい感じにまとめてくれるから、言葉や順序を考えなくていい。事実をそのまま言ってくれ。」


 アマノは部屋の角に座って羽ペンを構える書記官らしき人の方をチラッと見る。

 無駄なことは言うな、真実だけ簡潔に、ということなのだろう。


「わかりました。大きいモンスターですが――」


――どのくらいが経っただろうか。


 「よし、もう話すこともないだろうしここらへんで大丈夫だ。また何か思い出したことが……ないとは思うが、あれば教えてくれ。」

「は……い……」


 これは尋問だ。もう尋問でしかない。思い出せ、と言われ細かいとこまで聞かれる。うろ覚えは許さないらしく、確信を得るまで喋らされる。何体いた?どんな色だった?姿は?描いてみて!と、脳と心が疲弊する。喉も辛い。普段もっと喋っておくんだったな、と後悔した。

 書記官のお気の毒さまです。でも私も同じなんです。っていう表情を見て、さらに辛くなる。


 そうして俺は部屋をあとにする。

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