第3話 反撃

 光ったゲートから大きな塊が出てきた。

 陽の光を反射し、黒く輝いている。細く長い棒を頭に載せ、滑るようにガタガタと鳴きながら動いている。体温が高いのであろうか、それの後ろからは煙が出ている。


なにかすごいのがでてきたなぁ(棒)


としか思えなかった。


 先に出てきた人形のモンスターが使役しているのであろうか、大きな黒い塊、もとい、大型のモンスターの背中から人形のモンスターが顔をひょっこり出している。


もしこれが街で暴れたら


 そんなことを考えると、非正規イリーガルながらも冒険者としてのプライドに火が付いた。


 できるだけこの場の敵をたおさねば、少なくとも大型はほふらなければ。


 俺は無意識のうちに手を大型のモンスターの方へ向けていた。手の先に力を集める。

 この際、魔法が...なんて考える必要などない。この街を護る。それを考えれば、もしバレたとて痛くも痒くもない。

 意識を、照準を、大型のモンスターに定め魔法を放つ。


 その瞬間。


 大型のモンスターが爆発した。


 それの体内に大きな爆弾を抱えているのか、と思うほどの威力だ。周りにいたモンスターは残らず燃え、地面は丸く凹み、モンスターの残骸であろう塊が散乱している。


「倒した...のか?」


 言ってから気づく。冒険者が言ってはいけない言葉ランキング、「帰ったら結婚するんだ。」につぎ2位の言葉だ。


 ゲート周辺に人形のモンスターが集まってきた。

 そのうちの複数人はこちらを睨んでいる。


 バレた、逃げなきゃ。


 頭ではわかっていても脚が動かない。今逃げなければ殺される。隠れなければすぐにでも彼奴等あいつらはここに来る。


 俺はここで死ぬ。


 そう思ったがモンスターは大きな鳴き声を上げ、ゲートの中へ帰っていった。


 命拾いした...


 脱力し、その場にしゃがみ込む。

 おかしい。屋根の上なのに、眼の前に影が落ちている。

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