第16話 サモンは青い光に包まれている。

翌朝も 盾と装備を 準備をして ダンジョンの16階層に向う。


16階層はイノシシの魔物だ。 かなり大きい。 背中の高さで130cmくらいある。


この階層では 8匹ほど転移させ 階段を発見した。




17階層からは イノシシの魔物と混合で オオトカゲの魔物が出現した。


「トカゲって食べれるのかな?」 みんなに聞いてもわからない。


ギルドに売れない魔物だと テンションが下がるんだよね。


オオトカゲの魔物は 遠目に見ても全長7~8mはありそうだ。


洞窟の坑道が大きくなっていて 脇道が無いので 転移も使って


早めに進んでいく。


オオトカゲは この大きさで 壁に張り付いている。恐ろしい光景だ。




18階層は オオトカゲのみだ 途中で気が付いたが この大きなトカゲを


森に送るのもまずい。


この階層では 5匹のオオトカゲを17階層に転移させた。




19階層に降りると 熊の魔物が出現した。


見た目は 普通の熊で魔物なのか わからないが 大きさがおかしい。


立てば4~5mはありそうだ。歩いていても 軽トラックぐらいある。


なるほど 普通のパーティだったら 下の階層に行くほど


だんだん難易度が高くなっているのだろう。




大きくても 数が少なくなっているので


転移魔法の俺にとっては 階層のクリアが安易になってくる。


熊の魔物は18階層に送った。 脇道が無いので すぐに階段を発見した。




20階層に降りる 虫の大群とかは きませんように と祈る。


20階層の熊を1匹 遠くから転移させたとき その後ろに姿が見えた。


虎か? 白と黒の縞模様で口から長い牙が2本生えている。


サーベルタイガーか? 大きさは 体長で4~5m 熊よりは少し小さい。




こちらを見つけた瞬間 突進してきた。 早い! あっという間に 


半分の距離を詰めてくる。やばい! 即座に転移させた。


100mくらい離れていたが 一瞬で 50mまで来ていた。


恐ろしい魔物だ。 オオトカゲ・熊と 反応が遅いので油断してしまった。


危険なため 壁の陰からこっそりのぞき サーベルタイガーが 


見えた瞬間に上の階に転移させる。




21階層もサーベルタイガーだ 真剣に集中して目を凝らし進む。


高い緊張感のままフロアを進んでいくと 4つ目のフロアで階段を見つけた。


危険な階層を乗り越えたので 一息入れよう。 みんなを見回し伝える。


「次回、いきなりサーベルタイガーには会いたくないので


転移してくるポイントを作るため 22階層に降りてみよう。」




22階層も危険な魔物の確率も高い  慎重に階段から下のフロアを覗くと


80cmくらいの銀色の筒が 横にずっと動いていく。


うん。蛇だな。 近すぎるので 全体を確認せずに 18階層に転移させた。


大きな蛇だったが サーベルタイガーよりはましだろう。


この場所を次回の転移ポイントにしようと 記憶にとどめる。


一旦、ダンジョンの屋上に戻る。 まだ、ドキドキしている。




一応、頭の中の整理しておくと


16階層 イノシシの魔物


17階層 イノシシの魔物とオオトカゲの魔物


18階層 オオトカゲの魔物


19階層 クマの魔物


20階層 クマの魔物とサーベルタイガーの魔物


21階層 サーベルタイガーの魔物




ふ~っ、サーべルタイガーは怖かった リンとリコも白い顔をしている。 


サモンは変わらない感じだ。


「午前中が終わったぐらいだけど 今日はここまでにしよう。」 俺はみんなに伝え


「4階層のウサギの魔物を 2匹狩って 戻ろう。」 みんなうなずく。


サーベルタイガーの恐怖感が抜けてないようだ。




少し休むと 4階層に転移する。


転移!みんなで壁沿いに横に並び盾を構える


30mくらい先にウサギの魔物が見える 荒れ地の上空30mに転移させる。


もう一匹を 次の洞窟の通路でみつけて 同じように荒れ地に転移する。


自分たちも少し離れた 荒れ地のポイントに転移する。


落ちたウサギの魔物2匹は 血を吐いて倒れていた。


ゆっくり近づき 石を投げてみる 反応無ない。 絶命している。




いきなり動き出した時に備え サモンの盾を借り 俺がウサギの顔を押さえ


サモンに 短剣で首の動脈を 切ってもらう。


血抜きが終わり 全員と獲物で転移して 家に戻る。




リンが 昼食を用意してくれて 皆でたべて しばらく休憩だ。


なんかすごい疲れたのだけれど 俺だけだろうか?




ウサギ2匹を荷車に乗せ ギルドに向った。


ギルドに持ち込むと 銀貨2枚 銅貨2枚 で買い取ってもらった。


普通のウサギの魔物よりは 少し大きかったらしい。


一応、前世に換算すると 42000円だ。 十分な成果だ。


必要なものを買って 家に帰った。




家に帰り 俺は今日、しばらく考えていたことを みんなに伝える。


サーベルタイガーが 非常に危険だったこと。


俺たちが戦闘など知らない 素人集団だということ。


オークやウサギやイノシシを 刈っていれば 安心に暮らしていけるのに


あえて下の階層に行く必要はないのか 迷っていること。


誰かが大けがをしたり 死んでしまったら 取り返しがつかないからね、と。




しばらくの沈黙ののち リコが言う


「アデルはもっと下に行きたいの?」


「うんまぁ、 ここまで来たら次の魔物は何か なにか特別なものが見つからないか


見てみたい気持ちもあるけど。」 と伝えると




リコが言う。「多分 ふつうの冒険者パーティーが 19階層まで行ったら


国中 大騒ぎよ。 領主様から祝賀パーティーが開かれたり


国王から勲章をもらったりして 国中に名前がとどろくわ。」 続けて、


「伝承でも大昔に21階層までの 言い伝えがあるだけでしょう


私たちは 今日22階層まで降りたのよ 大した危険もなく


もっと下まで行けるんだったら 行ってみたいわ。」


リンもサモンのうなずく。 




みんな 俺ほど危険だったとは 思っていないようだ。


う~ん、これは中年のオッサンの分別くささか? 


リアルな15歳だったら 絶対、先に進むよね?


しかしなんだ このリコの説得力は。 俺も納得してしまった。


この世界の偉業に挑んでる気持ちはなかったが・・・ 




まあ、元気が出た。 俺は「明日は22階層から再開しよう。」 と言うと


「おおーっ!」 いや、そんな勢い付けたわけではないんだけど。


俺は心の中で いきなり蛇の口の前に出ませんようにと願った。


心の靄が晴れ その日は夕食まで リラックスできた。 


夕食の時は この領地や領主のこと 王都のことなど教えてもらった


王都は 誰も行ったことはないらしい。




翌朝も 皆で装備を整え 最初から盾を構え 22階層に転移した。


大きな蛇が見えた。 近くにいなくてよかった!


うねっているので 何メートルくらいかわからないが 


太い部分は抱えきれない太さだ。


色々なアニメで見たような気がするが 気にせず 20階層に転移させる。




体育館ぐらいの大きさの洞窟を 次の曲がり角まで行き そっと覗く。


一匹が壁沿いに天井に向け 這っている 転移!


22階層では4匹の蛇を転移させ 階段を発見した。 順調だ。




慎重に 下の23階層を覗く 近いところの蛇は 転移させた。


長い坑道を曲がり角まで進み 奥を覗くと 新たな魔物 大きなワニがいた。


アナコンダの次は アリゲーター? クロコダイル? よくわからないが


B級パニック映画のようである。


ワニも大きく 頭からしっぽの先までだと バスケットコートの横幅くらいある。


これも 見つけ次第 20階層に転移させた。




20階層に熊とサーベルタイガーと大きな蛇とワニがいることになる。


そこには 戻りたくないので 覚えておこう。


23階層も 割と楽に進めた 24階層はワニのみだ。


ワニも見つかれば動きは速いのだろうが あまり周りを見ていない。


と言うか 動かないため すぐに転移させられた。


あっさり 25階層の階段も見つかった。




25階層に向う為 新たな魔物に備え気を引き締める。


階段を降りる前に 薄く青い光が階段を照らしていることに気が付く。


覗いてみると構内は 青一色で青い光に包まれている。




みんなと目を合わす。 なんだろうか?


目を凝らすと トンボ?がゆらゆら飛んでいる 見える範囲で3匹くらいか


毒はないか 刺されないか 一応、盾を構えるが トンボに盾も恥ずかしい。


おぉっ 気が付くと1匹 サモンの頭に止まっている。


追い払おうとすると めんどくさげに ゆらゆら飛んでい行く。




青く光る 原因を確かめると 構内全体が 薄く青く光る鉱石で出来ている。


鉱石を見ると 青く輝いている 水晶体ではなく 青にシルバーが混じったような


色合いで 淡く発光している。 この青い鉱石で覆いつくされている


他に魔物がいないか 角まで行って覗いてみるが 同じ青い光が広がるだけだった.


他の階層とは違い 静寂に包まれている。




リコが 「これって もしかして アダマンタイトかな?」 


少しニヤついている。どうかな? 俺もニヤついている。


リンもにっこりしている。「綺麗ですね。」


サモンは ボーッと光に包まれている。


拾える奴があるので いくつか持って ギルドで見てもらおう。


慌てて見えないよう ゆっくりした動作で 鉱石を拾う。


4個ほど持って 家に転移した。

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