第11話 ダンジョン内は 発光している。
翌朝、目が覚めると 水筒・お弁当・短剣と用意して
早朝から出発した。
リコの聞いてきたルートを通り 家の近くの荒れ地から北を目指す。
平地や草原が多いため 高台からみえる 次の高台へと転移する。
気候は避暑地のような さわやかな気持ちよさだ。
5度目の転移で 家の近くに荒れ地の10倍ほどの面積の荒れ地が見えた
この荒れ地が ダンジョンの裏手に面しているはずだ。
「あっちだよね?」 リコに確認する。
荒れ地から 地図でダンジョンの方角を確認する。
近くの大きな岩の上に移動すると 森を少し入ったところに建物が見える。
あれがダンジョンだろうか?
古代の遺跡のような石造りで 建物の上には何もいない。
後ろを振り返り ダンジョンの反対側を見渡すと 遠くに森が見える。
あそこにしよう。ダンジョン内の魔物は 戦わず 転移してしまうつもりだ。
その場所を記憶にとどめて魔物の転移位置に定める。
村や集落もなさそうなので 大丈夫だろう。
このままダンジョンの屋上に移動するよと二人に伝え 転移!
屋上には何もいない。 高さはビルの3~4階ていどか
上からダンジョンの入り口付近を確認すると ゴブリンが12~13匹くらいいる
ゴブリンたちの武器を見ると 2人が剣を 1人が槍を持っている
その他のゴブリンは 棒に石をくくりつけた斧や 少し曲がった手製の槍などを持っている。
まともな武器だけ家の納屋に転移させ
ゴブリンの集団は さっき見た 遠くの森に転移させる。 転移!
よし!降りてみよう。 ダンジョンの入り口20mくらい離れた場所に降りる
入り口付近に 2匹のゴブリンがいたので 遠くの森に転移させた。
奥を覗くと 幅10mくらいの階段が下りている。
降りた場所からは 通路が2つに分かれている。
「右かな?左かな?」2人に聞くと、「左でいいんじゃない。」 とリコが言う。
左の通路に行ってみる。 入ると 30mくらい先まで伸びていて 分かれている。
出口のある 迷路だったら壁づたいに進むが 階段の場合は
どこにあるかわからないので 全体を歩くつもりで 焦らずゆっくり進もう。
左の通路をのぞいてみると 奥は突き当りだ。
突き当りの手前に 窪みが3つあった。 アパートのように入り口が並んでいる。
ゴブリンの居住スペースか? 3つとも 奥行きは5mほどで 行き止まりだ。
真ん中のスペースに ゴブリンが2匹いた すぐにダンジョンの外の森に転移させる。
奥の方に 武器が3本あったが売れそうな物ではないので そのままにした。
小さな動物の骨なども落ちていたので 居住スペースなのだろう。
大したものも見つからず 元の通路を右に曲がる。
直進した通路を進むと ところどころに居住スペースの部屋がある。
リンが右側の通路を覗き 「奥が明るいです。あれは右側の入り口ですね。」
なんだ 繋がってるのか?
迷路ではなく 普通のワンフロアを仕切ってるだけか?
入り口から遠い方へ進んでいく 脇道が多いので転移は使えない。
見えたゴブリンは 片っ端から 森へ転移させる。
脇道を見ると 多くはすぐ突き当りになる居住スペースのようだ。
やはり武器などが立てかけてある 中の1本は 長くて持ち手に白い装飾がしてある。
高そうな剣だ。ゴブリンには大きすぎるのだろう。 納屋に転移させる。
長い通路を右に折れると 下に降りる階段になっていた。
階段発見!
初めて行った広い会社の中で 階段を探すような感じだ。
次は2階層ですねとリンが言う。 よし降りてみよう。
2階層も同じような作りで オークも出現した。ゴブリンはたくさんいた。
オークの2匹から鉄製の斧と剣を手に入れた 見つけた部屋の中で
頭にかぶる鎧が落ちていた 人間用で入らなかったのだろう。
1階層より少し時間がかかったが 2階層の階段も見つかった。
ダンジョンにきて壁や天井が発光している理由が分かった。
真っ暗だと オークやゴブリンが住めないのだ。
3階層の階段を見つけたら休憩しよう、2人に伝え、先を進む。
3階層はほとんどオークだが 途中で大きいネズミのような魔物が走っていた。
オークも特に気にしていなかった 共存しているのかな?
そして4階層への階段が見つかった。
3階層では オークは15~16匹くらい転移させた。
これ普通に全部戦ってたら 相当、大変だろう ある程度強くないと死んじゃう。
手に入れた武器は 剣2本 斧1本 盾1枚
ある部屋には 甲冑が上だけ落ちていた その傍に ぼろくなったマントと
ペンダント 財布が落ちていた 財布には 銀貨3枚と銅貨3枚が入っていた。
盾は丸い盾で そこまで重くないので リンとリコが交代で持った。
お昼ご飯にしようと 1回家に帰った。
せっかくのお弁当だが いい場所がなかったので 家で食べた。
武器がいっぱい手に入ったが お宝ではない。
リンが 「生簀の魚が口をパクパクさせて死にそうです。」 と言う
あのサイズの生簀では 酸素が足りないのであろう。「リコ、リン 魚の締め方って
わかる?」と聞くと 「知らないわ。」 とリコが返事をする。
俺もよく知らないので マグロのように尾を切り落とそう
「今日はこの後は ダンジョンには戻らず 魚と今日の戦利品を
ギルドに売りに行こう。」と二人に伝える。
「また荷車を押すことになるから頼むね。」
俺はダンジョン近くの荒れ地に転移して 手ごろな岩を探す。
魚を押さえるために 岩で枠を作るつもりだ。
岩が見つかると庭に戻り 細長い岩を魚の幅ぐらいの間隔をあけ配置する。
頭の方を 逃げないように岩でふさぎ 1匹を転移させる。
挟まった魚は ビチビチ跳ねるが飛び出すほどは動けない。
しばらく待って静かになったところで 尾に向けて斧を振り下ろす。
10回くらいで 尾を切り落とせた 本当はエラあたりを切るといいのだろうが
どこを切ったらいいのか 知らないし・・・
もう一匹も処理して 動かなくなるのを待って荷車に乗せた。
武器は 斧1本と剣1本、槍1本 盾も使えるので納屋に置いておき
残りの 剣5本と斧2本 甲冑と頭の鎧・・兜でいいのか?を荷車に乗せた。
魚2匹と合わせると 昨日のオークと同じぐらいの重さになった。
荷台に大きな布をかぶせ 西門に転移した。
門を入ってからは 昨日と同じように リコとリンが前を引き 俺が後ろから押した。
ギルドの裏手に荷車を着け 受付で買い取りをお願いする。
今日も昨日と同じお姉さんだ。 複雑な顔をしている。
待っていると 査定が終わったと 呼ばれた
剣 銅貨10枚 3本
剣 銀貨1枚 1本
剣 金貨1枚銀貨2枚 1本
斧 銅貨 15枚 2本
赤龍魚 銅貨12枚
スワンプバス(黒い魚) 銅貨8枚
合計金額 金貨1枚 銀貨7枚となった 前世で考えると34万円か
銅貨は20枚で銀貨1枚
拾った財布を合わせると 金貨1枚 銀貨10枚 銅貨3枚 約40万円
2人に明細書を見せる 「すごい!」 リンが手をたたく
リコが 「あの装飾のついた剣が半分以上を占めてるのね。」 と言った。
まあ上出来かな?
受付のお姉さんに 次回の獲物である 4~6階層の ウサギの魔物と
オオカミの魔物 パウンドウルフの 買取り金額を聞いてみると
毛皮の量によるらしいが ウサギ銅貨15枚~30枚
オオカミは 銀貨2~4枚と教えてくれた。 「オークより高く売れるんですね?」
と聞くと
毛皮が オークよりずっと高く売れるらしい。
珍しい模様だとさらに高く買い取れることもあるそうだ。
帰りには2人に 銀貨を5枚渡し夕食の買い物と 「なにか必要なものや
欲しいものがあれば 買ってきて。」 と伝えた。
二人は顔を見合わせて リコが「私も服を買っていい?」と聞いてきたので
「あぁ 欲しいものがあったら自由に使っていいよ。」と伝えた
リンは困っていたが リコがいるので大丈夫だろう。
俺は先に戻ると伝え 荷車を引くと リンが「それはダメです!」と言った
リコに 俺だったら門までだからと 手を挙げると リコはうなずき
リンを引っ張っていった。
リンにも自由な時間があればいいなと思いながら 家に向った
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