第10話 ダンジョンに行こう!
俺は、もう一度席に着き 2人に明細を見せた。
「わぁ あれだけで 銀貨5枚とか やっぱり冒険者はすごいわね。」リコが言う。
「明日も行きますか?」 リンが聞く。
俺は、「まあ 週に3日くらいオークを倒してギルドに持ち込めば
充分、普通に暮らしていけるんだけどさぁ・・」
うんうんと リコもリンも 両手で頬杖をついて聞いている
「こんなに簡単にゴブリンやオークが転移 出来るんなら
やっぱりダンジョンに行ってみたいんだよね。」 俺が言うと。
リコが待ってましたとばかりに 「そうよね~ 私も絶対そう思う。
出た魔物は全部飛ばしちゃえば ダンジョンも楽勝よね。」
続けて 「あっ!もちろん高く売れる魔物はギルドに持っていきたいけど」
リンも 「はい!ダンジョン制覇 しちゃいましょう!」
やっぱり この2人はいいよな~ 怯えも躊躇も何にもない。
そうと決まれば まずはダンジョンについて調べよう。
図書館みたいなところはないか聞くと 聞いたことがないと言う。
でも本屋はあるらしい。 行ってみよう。
リコはダンジョンに詳しい友達がいるから色々聞いてみると 出かけて行った
本屋に行ってみると 一つの棚がダンジョン関連の本棚になっていた。
さすがダンジョンで有名な領地。
ダンジョンの歴史や伝承や言い伝えではなく 近年 冒険者が探索した際の
探索日誌を買った。 あともう一冊 魔物図鑑を買ってみた。
値段は1冊銀貨1枚だった。 活版印刷は無いのかな?
リンに家で必要なものは無いか聞いて 少しの野菜と2冊の本と 荷車にかぶせる
大きな布を買い 荷台に置いて 2人で前を引いて帰った。
門からは家まで転移した。
俺は自室で買ってきた本を開く。
一冊目は この領地のポラーネダンジョンを探索した冒険者の著作だ。
作者がダンジョンに入ったのは 3回 うち2回は救出のため2階層と
4階層に行っている。
3回目には アダマンタイトの入手依頼で 12回層まで下りている。
20年前の話だ 著者の最高到達点なので それより下まで降りた冒険者もいる。
1200年前には ほかの国のダンジョンで王様が国軍を使って
各階層を制圧しながら 降りて行ったらしい その時が21階層まで。
古い話なので ほとんど伝承や言い伝えの類≪たぐい≫の話だ。
著者が探索した話では ダンジョン内は壁や床全体が発光しているので
昼夜問わず薄明るい 構内は舗装などはされていなくて洞窟内と同じで
石と土で出来ている。 構内の道幅は2~4mが普通で 踊り場のような開けた場所もある。
水場は見つからず 12階層まででも一度も見つからなかった 水の補給が重要らしい。
各階層は 魔物がいなければ 1~2時間ぐらい探索すれば 下への階段は
見つかるだろう 下へ降りる階段は 各階層に1カ所らしい 推測だろう。
階段は 各階層同じ場所ではない 行き止まりも多く ただ部屋になっている部分もある
ダンジョンの構成は
1階層 ゴブリン
2階層 ゴブリンとオーク
3階層 オーク
4階層 ウサギの魔物
5階層 ウサギの魔物と オオカミの魔物
6階層 オオカミの魔物
7階層 アリの魔物
8階層 アリの魔物と蜘蛛の魔物
9階層 蜘蛛の魔物
10階層 スライム系の魔物
11階層 スライム系の魔物と植物系の魔物
12階層 植物系の魔物
ここまでは確かだ 20年前のデータだけれども。
伝承も加えると トカゲ 豹 ムカデ などの魔物もいるらしい。
著者は結局 1週間かかりダンジョンから脱出したらしい。
4日目に12階層までたどり着き 魔物と闘いながら アドマンタイトの鉱石を
探したが 見つからず 3日かけて帰還した。
各自 水筒を2個づつ携帯したが 最後の日には誰も水を残してはいなかった。
睡眠は 死角になる洞窟に隠れ 交代で寝たようだが
もちろんドアもないため 魔物が通路に現れると警戒態勢に入り 来ると戦闘に
なるため、交代でも 睡眠はとぎれとぎれになり 精神的にも厳しいようだ。
結論としては ダンジョンは全く割に合わない探索だ。 と締めくくっている。
確かに ドロップアイテムも乏しいし 魔物の多くは素材が売れないのでは
割に合わないのも当然だ。
詳しく読んだイメージとしては ショッピングモールぐらいの広さのダンジョンが
33階建てで 階段が各1カ所 その中を魔物がうろついている感じか。
2冊目の魔物図鑑に目を通していると
リンが ご主人様 魚はどういたしましょうかと聞いてきた。
あの大きさだと捌けないよね 切り身100枚くらいあるそうだし
「今度ギルドに売りに行こう 」 とリンに言う。
今日も、夕食近い時間になってリコが帰ってきた。
ダンジョンについて知り合いの冒険者や孤児の仲間に聞いて 調べてきてくれた。
ダンジョン周辺には施設や人家などは無いらしい。
街からの距離は50kmくらいで 北門からまっすぐ向かう道には大きな森が
立ちはだかる。 森だと木の陰など近くから魔物が襲ってくる可能性があるので避けたい。
俺たちが住む西エリアから回り込むように行けば 距離は倍ぐらいになるが
岩場や草原を通り ダンジョン裏手の広い荒れ地に到着できる。
そちらの方が よいだろう。
ことのほかスムーズに情報が集まってしまった。
どうしよう 調べたら余計に ダンジョンに行きたくなってしまった。
「リコは明日は 屋台の手伝いに行くの?」 リコに聞いてみる。
「後で話そうと思ったんだけど 手伝いの仕事はほかの孤児の子にお願いしたの
仕事をしてても アデルとリンが何をしてるか気になって仕方ないのよ。
今日も びっくりすることが沢山あったし 屋台のイブラさんには代わりに
孤児仲間のレイナを紹介してきたの。」 リンも知っている子らしく うなずく。
「私もアデルの手伝いをする!」
それはうれしい。 俺も予定を立てやすい。
ちなみに 今日の成果の取り分はどうする? と2人に聞いてみると
リンは私は奴隷ですので 取り分などは考える必要はありませんと答え
リコもリンを助けてもらってるし 必要ないわ でもほしいものがあったら
言うわ と言った。
リコは屋台の手伝いを辞めるときに 店主のイブラさんに
選別にペタと言う Mサイズのピザくらいのパンを貰ってきた。
早速 夕食に食べてみる ちぎってスープの具材をのせて食べるらしい
なるほど おいしい。
「レイナは亡くなったお父さんが教師だったから 計算もできるので安心よ。」
とリコが言った。
「リコとリンは何で孤児になったのか 聞いてもいいか?」 俺が聞くと。
「うん。」リコがうなずく。 私はこの街で生まれ育ったんだけれど 覚えてないくらいの小さいころに 両親がしんでしまい おばあさんに育てられていたの。
9歳の時に そのおばあさんも亡くなってしまい
それ以来 孤児として暮らしてきたの と語った。
リンは 私は王都の東側のスメール領にいて 母がメイド長 父が領主館の
庭や建物の管理をしていたらしい。
4年前に 豪族が反乱を起こし 領主の建物に襲撃をかけてきて
父親は応戦の際に殺され 母親とリンは つかまり奴隷にされた。
母親と別にされ 他の奴隷といっしょに 馬車で運ばれているところを
追ってきた王都の兵と戦いになり リンは逃げ出して この街にたどり着いた。
街に入り 隠れているところを リコに救われたらしい。
リンのメイド気質は母親譲りか、
二人とも 俺の前世より ずっと大変だったんだなぁ。
アデルはどこから来たのか聞いていい?
そうなんだよな~ 中身が42歳のおじさんだとは言えないよな~
外見に合わせて 俺の心も変わってきてるみたいだし そこはしばらく待とう。
異世界?地球?神様? どこまで話せばいいんだろう?
考えた末 俺は、
「ゴメン、まだ自分でもわからなくて 落ち着いたら話すよ。」と言うと
リンが「話さなくてもいいですよ 私にはご主人様に変わりありませんから。」
リコもうなずく いい子だな~ うん。ありがとう。
俺は話を変えるべく、「で、明日なんだが ダンジョンにいってみようと思う。
ダンジョン周辺を確認して 無理なく進めるようなら 1階層に入る。」
「了解です。」 と2人はうなずく。
「1階層~3階層までは ゴブリンとオークで オークは銀貨2枚くらいで
売れるけれど 今回は確保せず 遠くに転移させてしまう。
なるべく 下の階層を目指そうと思う。」
「わかりました。」 2人はうなずく
4階からは魔物次第で 確保するか考えよう。
寝るまでの間は リコとリンが 孤児仲間の話や 街の話や
小さい頃の話などをしてくれた。
リコが「私はアデルの奴隷では無いのだけれど どんな立場かな?」 と聞かれた
友達? パーティメンバー? と答えたら リコが使用人がいいと言った
説明するときは 商人アデルの使用人とすることになった。
こうして話して いろいろな部分が整っていくんだろう。
明日は早いので寝るよといい 俺は明日に備え眠りについた。
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