第5話 新居が決まりました。
リコが案内する貸家は 城壁の外にあった。
城壁から出たところでも安全なのかと 聞いてみたが
農家もたくさん住んでいて 問題ないらしい。
リコの案内した家は 城壁から15分ほど歩いたところにあった。
大きめの家だった 農家では普通らしいが
「そこの隣の バローズさんが管理しているの 行きましょう。」 リコが指さす。
隣っていっても 200mくらいあるが・・・
隣の同じくらいの農家に行くと バローズさんは奥さんと家にいた。
リコがバローズさんに 俺のこと以外は包み隠さず説明している
俺のことは この街に来たばかりの商人見習いです。と言っていた。
まあ 俺も自分のこと説明できないんだしね。
後で聞いたが リコは孤児なのでいろいろなねぐらを確保しているが
一時期 この貸家の裏にある納屋に寝泊まりしていたらしい。
バローズさんに見つかり 追い出されそうになったが
孤児に理解を示してくれて 定住しなければ 少しはいてもいいよと
言ってくれたそうだ。 そのときリンも一緒にいたのでリンのことも知っている
収穫期にはリコとリンも 畑の手伝いをしたため仲良くなったらしい。
家賃はリコが交渉して 1か月 銀貨2枚銅貨2枚で決着がついた。
前世で換算すると 41000円くらいか。
「最近 税が高くなってるんで助かるよ 長く住んでくれ。」
バローズさんは 俺に微笑みかける。
優しそうな人で良かった
リコがカギを受け取ったが この辺で出かけるときにカギをかけることはほとんどないらしい
早速、貸家に入ってみると結構広い。
部屋は3部屋あり あとは居間というか 一つのスペースになっている。
玄関側の壁ぞいに 色々なものが置かれ
右半分の中央に 4人掛けのテーブルとイス 左半分には暖炉があり
大きな年代物のソファーが置いてある。
一番奥が裏口で その横にかまどが二つ 大きな水がめが一つある。
なるほど水道は無いよね もちろんガスも電気も
リコがまず1部屋目のベットを整える。
ベットといっても板張りで その上に厚手の毛布を引き
掛けるのも 同じくらいの毛布1枚だった。
両方の毛布のホコリをバサバサと落とし リンを寝かせる。
リコが家の中を見回し 生活に足りないものを 買い出ししましょうと言う。
食べるものもないし 仕方ない なんか長い一日だ。
一度来た道をまた 町に向いながらリコに聞いてみる「まだ夜にならないの?」
リコは言う 「そうねあと1時間くらいで日が沈むわ。」
夜があってよかった。 多分 有ったほうがいいのだろう
前世と比べ1時間の幅が長いのかもしれない
俺はリコに聞いた。 「一日ってなん時間なの?」
ぷっ リコが吹き出し 大笑いし始める
「ゴメン いきなり真顔でそんなこと聞くもんだから。」リコが言う。
「ちょっと待って~ 止まらない~ ギャハハハ いっ、一日は20時間よ ぎゃはハハハ」
ツボに入っているリコはほっといて
う~ん 参考にならない 時間はただの割り振りだからな~
「一か月ってなんにち?」 また聞いてみる。
「くっ!ぷっ わざとやってるでしょう?
一か月は100日よ 最後の8月だけは110日。」 リコが説明する。
「ってゆうことは 1年は8か月で 810日でいいの?」 俺が言うと
そうよ と言いながら リコは今度は青ざめる
「そんなのどこの国でも一緒よねえ!」続けて
「アデルは別の星から来たの?」
そりゃそうだよね。 俺はごまかし
「いや まぁ記憶が全くない部分もあって・・・」という
リコは あんまり信用してないようだが
「ふーん まぁいいわ 見た目は普通の人だし・・」
深くは気にしないらしい、 さっぱりした子でよかった。
「リコは14歳で リンが13歳だよね。」 俺が聞くと
リコが 「うん そうよ そしてアデルが多分15歳。」
でも1年の日にちが地球の倍以上ってことは
前世の30歳以上を生きてるってことだよなぁ 来たばっかりだけど
リコが28歳?リンが26歳? 違う気もする・・
ここの環境に慣れてしまえば 換算する意味もないのかな
まぁ気にしないでおこう。
「ところで普通はみんな何歳くらいまで生きるの?」
「そうね大体 180~190歳くらいじゃない?」
ぶっ 気にしない! 後で考えよう。
街に戻り言われるがまま 鍋やランプ・油などを買い
パンや肉や果物を買い 買った鍋にスープをたっぷり入れてもらい
給食当番のように 二人で片方づつ持って帰りました。
家に着くと ようやく日も暮れはじめ 地球と同じ真っ赤な夕焼けが現れた。
うぉ~と伸びをする。
こうして農村地帯の夕焼けを見てると ただ旅行に来たみたい
温泉入りてぇ~ ないけど
まだ異世界に転生して 1日?半日?なんだよね
とてつもなく長い一日だった気がする
でも振り返ると うちの中には2人のかわいい女の子がいます。
さすが異世界 転移魔法は使ってないけど
42歳の俺だったら 家に帰ってYouTube着けてただろう
神様 ありがとう。
家に入ると リンが起き上がっていた。
リコの手伝いをして テーブルを拭いている。
大丈夫なのか?と問うと
「えぇ・ 病気ではありませんので だいじょう・・・」
言ってる傍から ふらついている 律儀な子だ。
リコが言う。「リンは座ってなさい。買ってきたものを並べるだけだから。」
リンが落ち着かないので 皆で手早く料理を並べ席に着く
よし!食べよう いただきます!と言うと リンが立ち上がろうとする
「私は奴隷なので あとで残り物をいただきます。」
いやいや 俺も奴隷の規則とかよくわからないけどいいよ 一緒に食べよう
リンが座ると リコがイスを近づけ ひそひそ声で言う「アデルはね 自分の年齢もこの国の名前も な~んもわかんないの
あなたはガイドとして雇われたのよ だから普通に食べて大丈夫!」
聞こえてるし ちょっと言い方が気になるがその通りなんで
リコは今日 俺とあった経緯からこれまでをリンに説明する「泥棒の魔法が使えるんですか?」 リンが眉をひそめる。「そうなのよ あの魔法があれば商店の小銭なんか盗み放題なのよ。」
なんか酷い言い方。
でも最初に見られたのが 万引きしてるところだから 仕方ないか。「うん 一応、秘密にしてほしいんだが 俺は転移魔法が使える。
でも 今日覚えたばっかりなんで 何ができるかまだ分からないんだ。」
へぇ~ 今日、使えるようになったんだ
ちょっと試してみようか
リンにも見といてもらったほうが話が早い
「そこの籠にあるリンゴを テーブルの上に移動させるよ 見てて」
転移! 籠のリンゴはテーブルの上に移動した「わぁ すごい!」 とリンが言った。
その後 沈黙が流れた。
そうなんだよ 問題はこれで何ができるかなんだが・・
やっぱり泥棒?リコが聞く
いや それはダメだから
「だから明日は 魔法の検証をしてみるつもりだ。」 俺が言うと「私もお手伝いします。」 リンが言う
リコが 「私は明日 屋台で仕事なんだけど 今日、ここに泊ってもいいかな?」「もちろんいいよ 部屋も3つあるし」 即答する。
「うん、でも今日はリンと一緒に寝るの。」
リンが俺にいいでしょうか?と問うような顔を向ける
ああそうだね リンがやっと解放されたんだし「ついでにねぇ 私、しばらくここで暮らしてもいい?」 リコがさらに聞いてくる。
ああ いいよ、リンもいるしいいよ。 なんかリコがすべてを進めているようで不安だが
かわいい子が 一緒に暮らすと言っている 断れるわけないだろう。「やった! ありがとう!」 リコがまた抱き着く。
あざといんだろうか? うれしい限りですが。
リンがいたたまれなそうに 横に目をそらす。
それを見たリコがリンに声をかける
「リン!あんたのほうがいっぱいお礼を言わなきゃダメでしょ?」
はい!リンは急いで俺の反対側に抱き着き
「ご主人様 私を開放していただき ありがとうございました。」
さらに強く抱き着いてくる
美少女の胸の感触が・・ 両側に これはいかん
何かムードや尊厳をぶち壊してしまう現象がっ~!
気が付くとリンが震えている ん?泣いてるのか?
あぁ ずっとつらい日々だったんだよね
腕をリンの肩に回し 落ち着かせる。
おかげで 俺も落ち着きました ありがとう。
それを見たリコも泣いていた。
リコもよかったな ハイ!よしよしよし
んっ?なんだろう この違いは
二人が落ち着いたので
改めて俺は言う。
「とりあえずここに落ち着きましたが 俺には職がありません。」
今後、食べていくための収入を経るため 職を探します。
「なに?急に真面目になって。」 リコが言う。
「商人でいいんじゃない?
アデルまだ金貨6枚くらい持ってるでしょ? それを元手に・・・
私もリンと手伝うし・・ 」 とリコが言うが
俺はポケットにある大金貨2枚を思い起こす
隠し事は嫌なんだよな・・ 後で実はまだあります。なんて言うと感じ悪いし
「実はあと2枚 大金貨があります。」
そう言って 俺は持っている全額を テーブルに広げる。
これが今の全財産 大金貨2枚 金貨6枚 銀貨3枚
キャー すごいこれなら何もしなくても 4~5年暮らせるわよ。
前世で考えると500万円くらいか よくわからん。
これで前世のこと以外は 隠し事は何もない。
すっきりした。 今日はすごく疲れたから もう寝よう
リンにベッドを整えてもらい 俺は横になった
今日に事を思い返してみようとしたが 眠い・・
硬いベッドを気にすることもなく 2秒で眠りについた。
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