第2話 街に着きました。

うぉ~ ここが異世界か!


ほんとに転生したのか 俺。


とはいえ周りを見渡すと 長野県と言われてもわからないような・・・


前は涼やかな草原がひろがり 後ろには木立が見える。


自分の顔は確認できないが 服装はまぁ 村人かな?


ベージュがかった白地のワークシャツに下は 茶色のオーバーオール?


手の感じや触った顔の感じは 多少若返ったような気がする




まずは 転移魔法を確認しておこう。


う~ん どうするんだろう? 念じてみるか


ひとまず足元にある小石に転移!と念じる


何も動かない。 うむ~


今度は小石の20cm先の位置を見据えながら念じてみる。


ひゅん。 小石は一瞬にして思い描いたところに移動した。


おぉっ。初めての魔法発動 感動した。ちゃんと実装してくれてる。


俺の能力なんだよね、特殊能力だ。すごい。


次は50cm先に移動させてみる。


ひゅん。 同じように問題なく移動した。


次は1m 転移! あれ? 動かない


もう一度 転移! やはり動かない。 50cm ひゅん。


1mは無理なのか? まあ修練が必要といってたしな。


今度はボーリングのボールぐらいの石で試してみる


やはり 50cmは移動させられるが 1mでは無反応だ。


重さではなく距離の問題か・・


うん。まあいいか。 魔法が使えるのは確かだ。




とりあえずは 人のいる場所まで移動しよう。


周りを見渡し迷ったが わからないので 草原を右手に進む。


進みながら自分の持ち物を確認すると ポケットに金貨が3枚入っていた。


それだけだった・・ 水筒も武器も何もない・・・


あらためて俺って 無防備だよね。


魔物とか盗賊がいたりら 終わりじゃないのか?




警戒しながら 1時間くらいは歩いただろうか


建物も街道も 何んにも見えてこないですけど。


歩いてる間にも 先ほどの転移魔法を試してみる


連続で 転移!転移! ひゅん。ひゅん。 出来た。


クールタイムのようなものは無いようだ。


ちょっと高い空中に転移! これも問題ない。


50cmくらいの高さに現れた石は ポトッと下に落ちた。


いつの間にか 1mくらいは余裕で転移できるようになってた。


これって なにか有用な使い道はないだろうか?


大学生のころパチンコ屋で1発台というのがあって


普通じゃ絶対入らないようなところに 球が入ると大当たり!打ち止め確定


とゆう台があった。 1回で1万円くらいになったような


あの時代の日本に生まれ変わってれば 大儲けできたんじゃないか!


うぉお 転生先を間違えたー。




歩き続けて 2時間が立った。


そういえば 俺がよく見た異世界物では 主人公がチートな能力を持っていて


薬草摘みに来た少女が 魔物に襲われているところから始まるのだが・・


ガタイのいいおっさんが歩いてきた


まだ50mくらい距離があるが 木立の中の獣道みたいなところを


こちらに向って歩いてくる。


ん?そういえば 言葉は通じるんだろうか?


顔立ちまではっきり見える距離に来た時 声をかけてみる


「こんにちはーっ。」


「こんにちは 見ない顔だね。」 おじさんは気が付き返答してくれた


お~っ 言葉が通じた。 神様 ありがとう。




おじさんを見ると 言葉も優しいし 盗賊や悪人ではなさそうだ。


少し安心して 俺は尋ねる


「旅の途中で仲間とはぐれてしまいました この近くに町や村はありますか?」


「そうか、俺はこれから街に帰るところだ 案内しよう。」 おじさんが言う。


よかった、町があれば 水と食べ物が確保できる。 多分・・・


「助かります。 案内してください。」 と言い 頭を下げる。


俺の服装を見て おじさんは


「よそから来たにしては 軽装だが 盗賊にでも襲われたのか?」 と聞いてくる。


俺はごまかし 「いや、置いてきぼりを食らいまして 気づいたら誰もいなくて・・・」


自分でも嘘くさいとは思ったが おじさんは疑わず


「それは災難だったな 俺の名前は ゴーシュだ 森で木こりをやっている。」


名乗ってくれた。 


俺も 「僕はアデル 商人の見習いです。」 と名乗ると おじさんは


「持ち物は何もないようだな ほら、飲め。」 と水筒を差し出してくれた。




町の入り口までは半時間もかからなかった。


ゴーシュさんに着いて 歩いていくと 街の門が見えてきた。


「ここが俺の住んでいる町 コロンバンだ。」 と教えてくれた。


門まで来ると ゴーシュさんが 門番に挨拶をして


「こいつはアデル 商人だ。」というと すんなり通してくれた。


物乞いや 盗賊出なければ 問題なく通れるらしい。


治安は良さそうだ。


ゴーシュさんは まだ仕事中で 忙しいらしく「街まで案内してくれて ありがとうございました。」 という


俺のお礼の言葉もそこそこに 去っていった。


ほんと よい人にあえて良かった。




街に着いて安心したら 急に疲れが出た。 座るところ探そう。


町の中心部に向かい進みながら 眺めてみると


思ったより人が多く 活気があってにぎやかな感じだ。 


人々は東洋人と西洋人の間くらいで 黒めの髪や 茶色の髪が多いかな


背丈は男女平均で170cmくらいか 前世と比べても 違和感が少ない。 


着ているものは フランダースの犬やラスカルのアニメで見た感じだ。


建物も見渡す範囲では 二階建が多く平屋作りも 少しある


不思議だが 看板の文字が 読める。 


脳がどうなってるのか 少し不安だが 神様 ありがとう。




少し歩いてると 石像が飾ってある 小さい広場に出た。


何人かが 座っている 低めの石垣に腰を下ろす。


はぁ、やっと休めた 気候は少し暑い気がする。


考えなければならないのは 食事と今晩泊まるところか。


俺の持ってる金貨は 普通に使えるんだろうか?


その辺の屋台で使ったら お釣りが無いとか ありそうだ。


もしかしたらこの国の貨幣じゃなかったりして。


まさかね~神様・・


まず、安全に両替できるところを探そう。




両替をする場所はわからないけど けっこう腹が空いている。


広場を見渡すといくつかの屋台が並んでいる。


4件並んだうちの 一番端が果物を売っている屋台だ。


その横には 5mくらいで行き止まりとなった 薄暗い路地になっている。


人はいない。


あの感じだと 路地に少し入って転移魔法で端に積んであるリンゴなら


難なく盗めるだろう。


異世界にきていきなり悪事を考えている自分が恥ずかしいが・・


金貨が使えない場合に備えて 一応、試してみよう。


路地の半ばまで移動して 周りを見渡す。


路地の奥には 古びたリヤカーがあり 隣には壊れた木製の車輪が2個


荷物なのか大きな箱に板が立てかけてある。 


俺は 積んであるリンゴの一つに狙いを着ける。 転移!


俺の手には赤く輝くリンゴが現れた。


おおっ いけた! 最悪の場合は これで凌ごう。 


リンゴは元に戻してっと 転移! リンゴは元の山に戻された。


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