第12話

「なあ、タジマ」

スカウトマンが石の上に座つて弁当を食べていた

タジマに声を掛けた。

「気安く呼ぶな。スカウトマンの分際で」

「ワシがスカウトしたかったのは」

「映画スターだろ」

「そうではない」

スカウトマンが一つ咳払いをした。

「宇宙一のローキックが蹴れる存在だ」

「変なの」

タジマが蛸さんウインナーにかぶりついた。

「そんな存在探してどうするのさ」

「宇宙中の悪者を退治する」

タジマが腹を抱えて笑った。

「とんだ見当違いなんじゃあないの」

「おまえをスカウトしたことがか」

「そう。それにローキックで宇宙中の悪者を

退治するってところ」

「いまにわかる」

スカウトマンが満天の星空に目をやった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る