第11話

「まず、100トンの重りを脚に

つけて、ローキックを千回」

「でぇーっ。そんなことできるわけが」

「できる。古物商にもらった脛あて

を使えば何とかなるはずじゃ」

スカウトマンが確信めいた口調で言った。

タジマが重りを脚に

つけた。

ピクリとも動かせない。

「やっぱり、無理ですよ」

「できる。できると信じるんじゃ」

スカウトマンがまた強い口調になった。

タジマは渾身の力を込めて

重りを動かそうとした。

しかし、動かない。

「信じるんじゃ。信じるんじゃ」

タジマがまた渾身の力を右足に

込めた。

重りが微かに動いた。

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