私の決意
もっちゃん(元貴)
第1話
私は今、名古屋栄の写真コンテストの展示会場にいる。ここには、去年コンテストで入賞された人たちの写真が展示されている。
私は特段写真に興味はなかった方だったが、私の彼女が入賞されたこともあってこの会場にいる。彼女は、将来プロのカメラマンを目指して、商店街の写真館などの小さなフォトコンテストによく写真を応募していた。
今回は、大手の企業主催の写真コンテストなので、彼女がこの場にいたら、どれだけの笑顔がみられたことかと込み上げてくるものがある。
この場にいないとは、どういうことなのか?
アルバイトや用事があって来ていないわけではない。
先月交通事故で亡くなってしまった。
犯人は、交通量が多い大通りだったこともあり、すぐに逮捕された。
報道によると会社員の男で、仕事帰りに酒を飲んで運転していて、歩道に突っ込んだそうだ。
私は一報を聴いた時、理解ができなかった。
なぜ彼女がこんな目に遭わないといけないのか、と数日間落ち込んで大学にいくことを忘れていた。
その大学に向かう最中に地下鉄東山線の車内に写真コンテストのポスターが貼ってあり、展示会場が栄であると知り、今ここにいる。
この写真にはいいイメージを持っていたが、交通事故が起きてしまって変わってしまった。
それは彼女が事故で亡くなった場所が写真コンテストで、入賞した写真がイルミネーションの木々が綺麗な冬の大津通の交差点の写真だったからだ。
この写真を見るたびに嬉しさと悲しさの二つの感情が渦巻いてしまう。
私は昔から暗い性格をしているため、何か失敗するといつも負の感情が大きくなり暗い気持ちになってしまうが、彼女は明るく前向きな性格で、私も前向きになれる日が多くなってきた矢先の事故だった。
展示会場から自宅へとの帰り道名古屋の街並みを歩いていると、冷たい風と共にふと彼女の口癖が聞こえた気がした。
「過去のことは過去、私たちは前に進まないと」
私の決意 もっちゃん(元貴) @moChaN315
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