夕暮百物語・第26話 ポスティングバイト

フリーター時代、ポスティングバイトをしていた堀さん。

チラシの内容は卑猥なもので、夜中に散歩がてら配るようにしていた。

時折、「チラシを入れるな」そんな貼り紙があるポストもあった。

ある日、契約会社にポスティングを依頼された。

場所は初めて向かう場所だ。夜中に指定の地域へ向かう。

問題なく配り始め、チラシも残り僅かというところ、後ろから視線を感じた。

振り返ると、廃屋とポストが置いてある。

ポストには「チラシを入れるな。見てるぞ」そんな内容の貼り紙がされている。

(残りのチラシを入れてやろう)堀さんはチラシを強引にポストへ押し込んだ。

——ぬるり

何か粘膜を触ったような感触。手を反射的に取り出し、穴を覗き込む。

そこには血走った二つの目玉が堀さんを見つめていた。表情など分からない。

怒りに満ちている。腰を抜かすと、入れたばかりのチラシが頭には落ちてきた。

堀さんは逃げ帰り、バイトを即日辞めたそうだ。

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