第197話 策士の罠
歓迎会前に私は藍介にイデアさんの対応をどうすればいいのか居間で話し合っていた。
「主人様、イデアさんは絶対に偽ダンジョン作りに参加したいと言い出すと思いますよ」
「そうよね。でも、砂糖が来るから、偽ダンジョン計画を進めたいのよね」
「うーん、今はイデアさんとは敵対していませんが、魔王軍が私達のダンジョンに絶対に攻め込まないと言う保証はありませんからね。現に、魔王は弔い合戦をしたいみたいですし、偽ダンジョン計画は推し進めなければいけませんよ」
「そうよねぇ。リリアーナもどう出てくるか分からないしねぇ。イデアさんには申し訳ないけど、偽ダンジョンの計画は一応少しだけ話すだけにして、中身はあまり伝えたくないわね」
「えぇ、偽のダンジョン内が敵に伝わってしまったら作る意味がないですからね」
「まぁ、偽ダンジョンに侵入しても死なない事だけは保障してあげたいのよね。私が考えてる偽ダンジョンは、二度と入りたくなくなるようなダンジョンにしたいのよ」
「二度と入りたくなくなる? それはどう言う事ですか?」
「偽ダンジョンに侵入した人は死ぬことはないけど、一生こんな所行かないと心に誓わせるような罠を仕掛けたいのよ」
「ほぉ、例えばどんな罠を仕掛けたいのですか」
「やっぱり、罠の定番で言えば、大きな丸い石が後ろから追っかけてくる仕掛けよね。定番どころは抑えておいて、他には、そうね。鏡の迷宮とかどう? あとは、そうねぇ。みんなに罠を考えてもらうのも面白そうね」
「鏡の迷宮ですか、楽しそうですね」
「楽しいさもありながらも、ずっと鏡を見るなんて頭が痛くなりそうじゃない? そういう地味な精神攻撃を重ねていきたいわね」
「精神攻撃系の罠ということですね」
「そうね。精神攻撃罠多めで、体を疲れされるために体を張るような罠も何個か作りたいわね」
「そうなると、偽ダンジョンは罠だらけのダンジョンというわけですね」
「そうそう、所々にカメラを仕掛けて侵入者が罠に引っかかる所流しましょうよ」
「それは、面白そうですね! いい娯楽になるのではないのでしょうか」
「勝手に人の家に入ろうとするんだもん、そのぐらいしてもいいわよね」
「そうですとも! で、話が脱線してしまいましたが、イデアさんをどうしますか?」
「そこが悩む所よね。彼は私の事を好きだぁ! 愛してます! とか、言われても男性に今まで言われた事ないからどう反応していいか分からないし、そもそも、殺し合ったっていうのに直ぐに好き! とか、ならないわよ」
「そうです! 紅姫さんも偽ダンジョン計画に参加しますよね。それでしたら、イデアさんに紅姫の子供達のお守りをお願いしてはどうでしょうか」
「それもいいわね! でも、彼が快く引き受けてくれるかしら?」
「彼にとって最高の餌を準備したら速攻飛びつきますよ」
「餌ねぇ、例えばどんな餌がいいかしら?」
「イデアさんは主人様を好いている。なら、簡単ですよ。1日デートしてあげると言えば即食い付きますよ」
「で、で、デート!? 私デートなんて一度もした事ないのよ!」
「デートプランは私が考えておきますよ」
「変なことされそうになったらどうすればいいのよ」
「そんな事はさせませんよ。主人様とイデアさんのデートには隠れて見張っておきますので、安心してください」
「藍介が言うなら、分かったわ。やってやろうじゃないのデート!」
「主人様、皆さんにこの事を伝えてもよろしいですか?」
「えぇ構わないわよ。でも、そんなに簡単に食いつくかしら?」
「イデアさんの気持ちを理解していますので、彼はすぐに食い付きます。それでは、私は紫水と緑癒に話をつけてきますね」
「分かったわ! いってらっしゃい!」
歓迎会の次の日、私は藍介と話した通りにイデアさんをデートの代わりに子供達のお守りをお願いした。
彼は、藍介の予想通り直ぐに食いついてきた。
やっぱり、藍介は凄いわね!!!
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