第192話 獣はメイド達に感謝する 後編
「イデア様、失礼致します」
チェルーシルが部屋に入ってきました。
「チェルーシル。砂糖とハチミツを交換するみたいですが。確か、ハチミツは貴方の国では森の黄金と呼ばれる希少な甘味として有名ですよね。それを、砂糖だけど交換するなど、凪さんが価値を知らない事を貴方は知りながら、この条件を提示したのですかね? きちんと、凪さんにハチミツの価値を話しました? もし、していないのなら、私の大切な女性を騙したと言うことになりますよね。私を敵に回すとどうなるか貴方は知っている筈ですが‥‥。チェルーシル、貴方は私に殺されたいのですか」
イデアは殺気を辺りにばら撒きながら、チェルーシルを睨んでいた。
クティスもまた、凪を騙そうとしていたチェルーシルを睨みつけていた。
そんな中、チェルーシルは冷や汗を掻きながら、イデアの質問に応えた。
「凪様にはハチミツの価値をお話ししました」
「それでは、凪さんに直接聞いてみることにします」
私は凪さんから貰った懐中時計を使い、緊急用のボタンを押して凪さんを呼びました。
「急にどうしたの! 何かあった?」
凪さんの髪が濡れていてもう、エロい!!! 凪さんエロすぎます!!! はぁ、はぁ、おっと、凪さんの色気に正気を失う所でした。危ない。危ない。
「凪さん、砂糖とハチミツを交換するみたいですが、凪さんはハチミツの価値を知っていますか?」
「えぇ、チェルーシルさんにエルフの国ではハチミツは森の黄金って呼ばれて希少だって聞いたわよ」
「砂糖だけでは対等な交換とはいえませんので、何か他に欲しいものありませんか?」
「あー、そう言うことね。私は砂糖とハチミツの交換でいいわよ。他に欲しいものないし、それに、久しぶりに女の子と話ができて楽しかったのよ。だから、私を楽しませてくれたメイドさん達にお礼として、ハチミツをあげたいの」
「凪さん。貴方って言う人は、なんて素晴らしい考えを持った方なんでしょう!!! 美しい魂をもつ貴方を私は愛しています! 愛しているのです!!!」
「はいはい、チェルーシルさんは私を騙す事ができたのに正直に話してくれて。私は、彼女は信頼できる人だと私は思ったの。だから、イデアさん、勝手に私と交渉を進めたメイドさん達の事怒らないであげてね」
「はい! 怒ったり致しません!」
「それじゃあ、これから私は晩御飯だからじゃあね〜。また明日ね」
「はい! 明日会いましょう!!! 凪さん愛しています!」
懐中時計から光が消え、凪さんの姿がなくなった。
「チェルーシル。正直に凪さんに話した事を評価してあげます。もし、騙していたら貴方の命はなかったでしょう。それに、凪さんに緊急ボタンを押したのに怒られませんでした! しかも、凪さんは風呂上がり。最高でしたよ!!! こう言う場合なら怒られないのですね! あっ、それで、凪さんが私の事をイケメンと言っていたと言ってましたよね? その話を詳しく聞かせてください」
「はい、ターレが凪様が好きな男性を聞いた時に凪様はイデア様の事を、その、異性としてこれっぽっちも好きじゃないと、仰っていました」
「えぇ、その話はターレから聞いて詳しい話をメテラールトに聞きましたよ。何度も心が苦しくなる言葉を聞きたくないですね」
「知っていたのですね。その後、凪様はイデア様の事をイケメン過ぎて怖いと仰っていました」
「イケメン過ぎて怖いですか? 何故怖いのでしょう?」
「凪様は前の世界では一度も恋愛をした事がなく。彼氏いないイコール年齢と言っていました」
「ん? それはつまり、凪さんは純潔という事ですか」
「はい、凪様は処女だそうです」
私は衝撃的な話に体が固まってしまいました。凪さんは一度も男性関係がない。私が凪さんの初めての相手になる事ができる。うん、チェルーシルには金貨10枚あげちゃいましょう。
「それで、凪さんは他にはなんと言っていましたか!」
「私はどうしてイケメン過ぎて怖いのかと聞きました。すると、凪様は今までの人生で見たことのないイケメンだから、あまり近寄りたくないと仰っていました」
「凪さんがそんなに私の事をイケメンと褒めてくれるのは嬉しいのですが、近寄りたくないはどうしてなのでしょう? 普通の女性なら逆に近付きたいと思うはずですよね?」
「凪様は恋愛経験がない為、イケメンは目の保養で、自分とは関わりのない人種だと仰っていました。だから、凪様はイデア様が結婚したいと仰った時、怖いと感じたみたいです」
「イケメンは関わりのない人種ですか。私が先走り過ぎて、凪さんを怖がらせてしまったのですね」
「それに、人生で初めて血まみれの男性に抱きつかれて怖かったと仰っていましたよ」
「あれは、興奮のあまり、つい。でも、凪さんは私の腕の中で安心しながら眠ってしまいましたよ」
「それは、凪様が力を使い果たして眠ったというより力尽きたが正解なのではないでしょうか」
「それで、イケメンと関わりたくない凪さんとイケメンである私はどうやって恋人になれるのですか」
「それは、凪様と友人として信頼関係を築き上げ、段階を踏んでいくしかないと思います。イケメンとして見られているのなら、私はイデア様が凪様の恋人になれる可能性はあると考えています」
「イケメンである事がまさか、私の恋時の邪魔になるとは思いもしませんでしたよ。イケメンとは罪深いものなのですね」
「え‥‥。そうですね。凪様にとってはイケメンは罪なのですね?」
「チェルーシル! 貴方の情報は素晴らしかったので金貨10枚あげちゃいましょう。それに、ターレには金貨1枚あげましょうか。彼女が聞いてくれたおかげで私は凪さんにとってイケメンって事が分かりましたからね。すみませんが、ターレに金貨1枚を渡してきてください」
「かしこまりました。それでは、私は仕事に戻らせていただきます」
チェルーシルは私の部屋から退出した。
「クティス。聞きましたか、私は凪さんにとってイケメンなんですよ!」
「ガウガ!(よかったね!)」
「明日から凪さんとより深く友情を深め、そして、恋人に。クティス凪さんの好感度稼ぎ頑張りましょう!」
「ガウガ!(がんばろう!)」
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