第6話ゴキブリの好意
主人様は、黒髪長髪の人間にしては小柄で、くりっとした丸い目で漆黒の瞳が大変美しく、見つめられるとその瞳から目が離せなくなるほどの美しさ、私は人間に興味があったので、色々な女性の顔を調べましたが、彼女は童顔に当てはまり、面長ではなく丸型で愛らしい印象の女性であり、私は一目で彼女のことが好きになってしまいました。
私は彼女の命令で元主人のリリアーナの復讐方法を探す為、調べ物をしていますが、主人様はお辛いご様子。
まぁ、無理もありません、急に人間から精霊に変えられ、人間の寿命で死ぬことができず、私達と一生を共しないといけなくなってしまうなんて、もし、私が主人様の立場になったら頭を抱えざる得ませんよ。
ですが、私達の主人様となってもらった以上、私達配下を知ってもらわないといけません!なので!
「主人様、リリアーナの復讐方法を探すのにかなり時間がかかりますので、私達の自己紹介をしてもよろしいでしょうか?」
彼女はキョトンとした顔で私を見つめてくれた
彼女の困惑している顔が可愛くて仕方なかった
「えっと、私一人で考えたいんだけど、自己紹介は後にしてもらっても」
「主人様は聞いてくれるだけでいいので、紹介させてもらってもよろしいですか」
私はリリアーナの愚痴を彼女に話した時、とても気分が高揚した。私の話を聞いてくれる喜び、彼女の相槌が嬉しくて、もっともっと、話していたい、その気持ちが先立ってしまい。
私は強引に私達の自己紹介をしました。
「それでは、まず最初に私と私の妹の自己紹介といきましょう」
「え、自己紹介始まるの!」
彼女は驚いているようでしたが、私は気にせず話しました
「私は魔蟲の洞窟6層目の長ゴキブリと申します。
私には名前がないので種族名に長をつけて長ゴキブリっと自分で勝手に名乗っています。
やはり、名前がないのは分かりずらいですよね
私には可愛い妹がいます。妹も名前がないので皆からは妹ゴキブリと妹を呼んでくれています。
妹は私よりも大きく、力も強い為、私を天敵から守ってくれています。他にも、妹は可愛い物が好きな為、6層目を抜けた先にある森で花を愛でたりしていますね。妹は私を守り、私は色々な知識を妹に教え、持ちつ持たれつの関係で日々楽しく暮らしています。
そもそも、妹が居なかったら私は長になる前に誰かに殺されてたと思います。まさに、妹との出会いは運命なのではないかと思います。
私は他の者たちより賢い為、自身の体と心が合っていないのを日々感じていました。なぜ、私はゴキブリとして産まれてしまったのかと、自分自身を呪っていました。他にも、私は他のゴキブリ達とうまく馴染めずにいました。そのせいで、孤独感に苛まれ一時は死のうかと思った時期もありました。ですが、妹に会ってからは寂しさがなくなり、妹と共に暮す事が私の生きる目的になったのです。
私は特殊個体のゴキブリみたいで特殊固有スキル『世界の図書館』という神が作ったこの世界のあらゆる知識を詰め込んだ図書館の知識を閲覧することができ、いわゆるチートスキルを私は保有しています。他にも、アイテム生成スキルを複数所持、戦闘スキルは皆無ですが、生活をする上で使うスキルは沢山保有しています。そう、私は賢く!器用な!できるゴキブリなのです!
私と妹はここまでとして、次に紹介するのは3層目の長、巨大な蜘蛛さんこと長蜘蛛さんを紹介しましょう
長蜘蛛さんはとても優しい皆のお母さん的な方です。
私達の中で一番戦闘力があり、冒険者達は彼女が現れると、戦うことはせずに彼女の足に当たらないよう回避をし続け、ゴロンゴロンっと回転しているさまが可笑しくて、冒険者が侵入した際は、その光景見たさに妹に頼んで3層目まで送ってもらってましたね。まぁ、そのぐらい、彼女の攻撃力は冒険者達にとって脅威だったということです。
あと、彼女はよくリリアーナのお使いを頼まれてましたね。
りんごを持ってこいだったり、主人様が神によって召喚された際は人間を探してこいと命令されていました。
彼女は私達の中で一番リリアーナと仲が良かったですね。
彼女が今の主人様の事をどのように考えているのかは分かりませんが、優しい性格なので主人様を害することはないと思います。
次は1層目の長ムカデさんとその息子について紹介しましょう。
長ムカデさんはとても長い体のせいでよく苦労していますね。
体が長すぎて、他の者たちを踏み潰さないように歩いていたり、辺な方向転換をしてしまい自分自身の体を結んでしまっていたりと長ムカデさんはドジっ子なのです。
基本的に温厚な性格で間違えて仲間達に足を齧られたりされても怒らず、優しく注意をすることのでき、長ムカデさんもまた優しい性格なのです。
長すぎる故にリリアーナは彼女をあまり呼ぶ事をしませんでしたね。
精霊の間に全身を入れようとして何度リリアーナが怒ったことか。
長ムカデさんには1匹の息子がいます。
彼はムカデなのに全身が紫色で何故だが、4層目の湖でよく泳いでますね。他にも、彼はよく寝る子で基本挨拶しても寝ている為返ってきません。
その体でどうやって泳いでいるのかと聞いたことがあるのですが、その際、彼は「水を操るスキルを持っている」とだけ答え、すぐに寝てしまいました。
寝る子は育つと言いますし、まだ大きくなるのではないかと思いますね。
最後に今上空を旋回している蚕を紹介しましょう。
彼は2層目の長蚕なのですが、1番の厄介者でして、仲間達が狩りをし捕食しようとしている時に、その獲物を回復させてしまうという傍迷惑な存在なのです。
私が食事をしようとしている仲間達の邪魔をしないでくださいと頼んだ時、彼は「全ての傷は癒さないといけません」っと言い話が全く通じませんでした。
彼はどんな毒も傷も直ぐに癒してしまう鱗粉の持ち主であり、そのせいなのかは分かりませんが、性格は人間でいうところの聖人で争い事よりも平和に行きましょうっというスタンスな為、皆から浮いてしまっていますが、本人は然程気にしていないみたいです。
聖人?いや、彼は蛾なので聖蛾ですかね。その彼なのですが、何故か、リリアーナが大嫌いみたいで一切彼女とは関わろうとはしませんでしたね。それと、」
「はい!もうみんなの事は大体理解できたからストップ!」
彼女は少し疲れているご様子でした
ですが、私は興奮がおさまりません
私の話が長すぎましたかね?
でも、まだ私は話し足りません!
もっと私の話を聞いて欲しい!
その美しい黒い瞳で私だけを見て欲しい!
もっともっと私を知って欲しい!
それと同時に貴方のことが物凄く知りたい!
次は貴方の話を聞きたいみたい!
貴方のお名前は?
何歳ですか?
身長は?体重は?
家族構成は?
好きなものはありますか?
元の世界では何をしていましたか?
あぁ、もう、貴方の事が知りた過ぎて頭がおかしくなりそうです。
どのような異性が好きですか?
もし、この中でしたら誰が好きですか?
いや、この質問はもう少し仲良くなってからじゃないと聞けませんね。
仲良く‥。
私は主人様と仲良くなれますかね。
急に興奮から冷め自分の体のことを考えてしまった。
私は人間達から嫌われている存在であるゴキブリです。
主人様は私たちの顔を見て恐怖の余り一度気絶をしてしまっています。そんな中、私達と仲良くなってくれますか?
彼女は優しいから私の話を遮ることなく相槌を打ってくれて話を聞いてくれました。
リリアーナには話が長いと言われ、仲間達は、私の話が難しくてわからないと言われたり、唯一、話を聞いてくれる妹は話の大半を理解してくれませんでした。
ですが、それは仕方ないことなのです。
虫として産まれてしまった以上賢さがとても低く、話すことができるだけでも凄いこと。
「あの、長ゴキブリさんちょっといいかしら」
私が考え込んでいると主人様が話しかけてくれた。
私は嬉しすぎて全身が震えた。
「はい!どうしましたか?主人様!」
「リリアーナの復讐方法は後でいいから洞窟の権限を使って何ができるのか知りたいんだけど」
「それはですね!」
私は新たな本を取り出し主人様に説明した。
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