第4話 僕にも魔法が使えるようなった

あれから五年たち僕も魔法が使えるようになり、今日からカイトと同じ魔法学校に向かう。


僕の魔法ははっきりいってすごく期待はずれだった。まず戦闘向き出ない時点でガックシだ。兄さんは半年に一回ぐらいのペースで家に帰ってきていた。会う度兄さんは強くなっていた。ここ一年は会えてないのだけど。


それにしても魔法が使えるようになった時は驚いたなぁ〜。僕自身でなく母さんにだ。


数ヶ月前僕は魔法を試すべく剣に魔力を込める。今まで感じられなかった魔力が分かるようになった。

何となくだが剣を透明な膜が覆っている感じだ。そうして込めた魔力を魔法に変える。

すると等身がピンク色の炎のような何かに包まれたのだ。この時僕は憧れの炎の魔法が使えると確信していたが現実は違った。気に当てたとこでも燃えなかった。切れ味も何一つ変わっておらず、僕はただ剣をピンクにする能力かと思ったがそうではなかった。


母さんが少し悩んだ後家から二つのナイフを取ってきたのだ。片方を僕に渡した。その時わかったがそのナイフも魔道具だった。

すると母さんがもう一本のナイフであろう事か自分の手のひらを傷つけたのだ。僕はめちゃくちゃ焦った

この世界でも母さんはおかしくなったんじゃないかと。

でも違ったのだ。僕は母さんに「そのナイフで魔法を使ってみて」と言われ言う通りにすると剣と同じでピンクの炎が出たのだ。母さんは「それ貸してみて」と言ったので渡すと切った腕にそのナイフを突き立てたのだ。当然ナイフは貫通した。僕は本気で心配した半分泣きそうになりながら。でも気がついた手を貫通しているはずなのに血が一滴も落ちてなかった。そして母さんは手に指したナイフを取ると「やっぱり」と言いナイフで切った手を見せてきた。するとそこには傷一つない綺麗な手があった。そう僕の魔法は治癒魔法みたいだ。魔力を込めピンク色になっていたナイフは元の色に戻っていた。多分指した箇所の傷に僕の魔力が入り込み傷を治すのだろう。


そんな感じで僕も魔法が使えるようになったのだがまたしても父さんは肩を落としていた。

そりゃそうだ 能力の強化は魔力の流れを理解するだけつまり魔道具に魔力を流す訓練をするだけでいいし

治癒魔法を持つものが剣の腕を上げる必要性もほとんどないのだ。まぁ剣はその後も教えて貰ってたけど。


僕も魔法学校に向かうカイトと同じ制服に同じ馬車同じ白髪のおじさん。

何だかカイトを見送った時を思い出す。今回は僕だけど

父さんと母さんと別れるのは凄く寂しいでもそれ以上に楽しみでもあった学校が。


「それじゃあ行ってきます」


「行ってらっしゃい。カイトにもよろしく言っといて」と母さん。


「頑張れよシン父さん応援してるからな」と父さん。


「うん、ありがとう」


僕はそう言って馬車に乗り込んだ。そうして馬車は進み出した


僕は馬車の窓から二人に手を振った。二人も手を振ってくれていた。

僕が見えなくなるまで、僕も二人が見えなくなるまで。





馬車に数時間乗りついに王都についた。窓からその街並みを見たがやはり僕住んでいた

ところとは全く違いすごいたくさんの人がおり店の活気がすごく賑わいを見せていた。


「うわぁ〜」


思わず声が出てしまった。


そうして魔法学校の門の前に付き馬車は止まった。


ドアを開け外へ出ると僕は驚いた。

宮殿かと思うほどにでかい学校だ。遊園地二個はあいるんじゃないかと思うほどに

広い。


僕は学校の豪華さに目を奪われていると「シン」と僕を呼ぶ声がした。

視線を下げ声がするほうをむくとそこにはカイトがいた。


「兄さん!」


僕は走ってカイトの方へ向かう。すると兄さんの後ろから一人の女の人が出てきた。


「へぇーあれがカイトの弟ねぇ」


カイトの首に腕をかけぐでぇーとするその女性。


「なんでここにいるんだマルタ」


少し怒った声でそう言う兄さん


女性はマルタというらしい。茶髪で少し癖のある髪を背中の中ほどまで伸ばし、茶色の瞳は少し垂れている。

そこそこの美人さんだ。


「そりゃ珍しくカイトが嬉しそうにしてたんだから気になるじゃん」


「そうなの兄さん!」


カイトにとって僕はそのくらい大事な存在になっているみたいで結構嬉かった。

それを知られたカイトは頬赤らめていたけど。


「恥ずかしがってる。カイトも可愛いとこあるねぇ」


そう言い爆笑するマルタ。


「マルタお前な!はぁーもういいや。ついて来いシン」


マルタに一言言おうとしたが埒があかないと思ったとかカイトは何も言わずに話を進めた。

確かにこのままだったら一歩も進めそうに無かったしなぁ。


僕はカイトについて行った。マルタもついてこようとしていたが「お前はついてくんな」とカイトはマルタを睨みつけそう言った。

マルタはその威圧に当てられたのかついては来なかった。


そうして着いたのは男子寮の中だった。五階建ての建物が連なり巨大な団地のようになっていた。その一つ五号棟に入り3階まで階段を登った。廊下を少し歩き。

ある一室で兄さんは止まった。

部屋のネームプレートには『シン』と書かれていた。


「兄さんここが僕の部屋?」


「あぁそうだせ。そしてその隣が俺の部屋だ!」


隣の部屋を指差しながら満面の笑みでそう言うカイト。指差す部屋のネームプレートには本当に『カイト』と

書いていた。


「いやー寮管に頼み込んで隣にしてもらったんだ」


「てことはこれから」


「あぁいつでも会えるぜ」


寮での一人暮らしは不安なことがあったのでこれはすごく嬉しい。


「よぉカイトこんなとこで何してるんだ?」


そう言い近づいてくる一人の男がいた。その声を聞いた瞬間兄さんは「ゲッ」と口にしめんどくさいといわんばかりの顔をした。


「うぉー!君がカイトの弟か!」


そう言う金髪で声がうるさい男。体格はカイトとそれほど変わらない。


「来るなら来るって言ってくれよ。俺も迎えに行ったのに」


カイトの肩をトントン叩きながらそう言う金髪の男。


「お前に教えるわけねぇだろケイジ」


金髪の男はケイジというらしい。


「えー何でぇ」


「お前がいると騒がしくなるからだよ」


「いやいやそんな騒がないよ」


「現に今騒いでんじゃねぇか」


カイトが肩を叩くケイジの腕を払いそう言った。


確かにこの人うるさいなぁ。


「ねぇねぇ君なんて言うの?」


ケイジが僕にそう言った。急に話しかけられびっくりした僕は虚取ってしまった。


「あれ教えてくれないの?」


あぁだめだ僕この人苦手だ。こんな大声で聞かれたら何でか答えるのを渋っちゃう。


すると


「おいケイジ何勝手に俺の弟に話しかけてんだ」


そう言いカイトはケイジの首に右手を巻き付け左手で口を塞ぎ動けないようにした。


ケイジは暴れながらゴニョゴニョと何か言っていたが聞き取ることはできなかった。


そのままの状態でカイトは僕の方を見て口を開いた。


「明日入学だから今日はゆっくり休んどけよ。じゃあまた明日な」


笑顔でそう言いカイトは僕に鍵を渡した後ケイジを引きずりながらどこかへ行った。僕は部屋のドアを開け中に入った。


きれいな部屋だ。ベットが少し小さくなったホテルみたいな内装だ。一人暮らしには十分な部屋の大きさですごく良い。


窓から外を見た時日が沈み始めていた。

それにしてもすごく良い景色だ。

街並みを一望できる。

明日から学校かワクワクで寝れる気がしなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る