第2話 この世界について

三年ほど経ち歩くことも話すもできるまでに成長した。そしてだんだんと自分のことや世界のことがわかってきた。

やはり僕は転生したらしい。鏡に映る自分を見ても前世とは似ても似つかないほどに

整った顔立ちになっていた、この点はすごく嬉しい。知っていた事だが僕も黒髪黒目だ。なんだか普通だと思ったが街に出た時黒目はそこそこいるが髪色の多くは茶髪や金髪で黒髪は一度も見たことがない。どうやらこの世界で黒髪は珍しいみたいだ。それでも少し赤髪とかに憧れはあったんだがまぁ良いだろう。街並みは中世のヨーロッパって感じでスマホみたいなネット環境はないみたいだ。

どうしてかは分からないが僕たちの家は街より少し離れたところにポツンとある。


そして異世界と言えばやはり魔法だ。この世界にも存在するみたいだ。だが『魔道具』という特殊な武器を使わないといけないらしい。

だが魔道具を持ったからといって必ずしも魔法が使える訳では無いらしい、魔力があっても魔法に変換できないとかそんな感じらしい。それに魔法の種類によって使える武器が制限されるなんてこともあったりと少し複雑だ。それに詠唱をすれば色々な魔法が使えるとかではなく皆決まった魔法しか使えないみたいだ。

魔法と言うより異能力だと思った。それでも僕はどんな魔法が使えるようになるのか楽しみではある。


でも少しガッカリでもあった。手から炎を放てたりできるんじゃないかとワクワクしていたのにできても剣に火を纏わせるとかなのだから....。


......待てよ、今思えばそれはそれでカッコイイのでは?そんな呑気なことを考えられるくらいには僕はこの世界に馴染み始めていた。


ちなみに僕の親はどちらも魔法が使えるみたいだ。

母さんの使える魔法は一定範囲を自由にワープすることができるらしい。

正直言ってすごく強い魔法だと思う。


父さんは身体強化らしい。なんだかすごくシンプルだが舐めてはいけないと父さんは自慢げな顔で言っていた。

爆弾が直撃しても無傷で済んだという。何だか脳筋の頂点に父さんはいるような感じがした。

身体強化なので当然だが父さんは剣を使っている。顔に傷があるのは戦いでおったのだろう。

でもそう考えると父さんに傷を負わせたやつ爆弾以上の、破壊力持ってたってことだ.....やばいじゃん。

父さんは良く家の外で剣の素振りをしている。結構な努力家───いや脳筋なだけか。


父さんと母さんは少し前まで軍に勤めていたらしい。カイトが産まれてから母さんは退役し父さんは前線から下がり

今は休みをもらっているみたいだ。そんな簡単に休みもらえるの、と疑問になったが父さんが前線にいた時の戦績は

頭ひとつ抜けていたらしく、あちこちの隊から引っ張りだこで休む暇が無かったという。今は国に反逆をする組織が減っており、今のうちに休めという感じだろう。


魔法が分かるのはだいたい10歳頃になるらしく僕より五年上の兄、カイトは後二年ほどで魔法が使えるようになる。それが楽しみで仕方ないのか最近になり父さんの素振りに入り

剣の使い方を習っている。

母さんはその様子をいつも微笑みながらみている。


「シン一緒に遊ぼうぜ」


手を振りながら窓越しでも聞こえるほどの声で僕を呼ぶカイト。


「もーまたチャンバラごっこするんでしょ危ないからダメよ。前シンが怪我したの忘れたの」


そういえばそうだったな。カイトには剣の

才能があるのか。

少し前ボコボコにされてしまったのだ。


まぁでも.....


「今行くよ兄さん」


楽しいかったし良いよね。


僕は母さんのことを無視して兄さんの元に走っていった。


「あっ!待ちなさい!」


母さんが僕を止めようとした。


「まぁいいだろシンも嫌がってるわけじゃないんだし。兄弟で遊ぶのも良い事だしさ」


父さんが母さんの肩に手を乗せてそう言いった。


こういう時結構良い父さんだと思う。


「.....それもそうね」


母さんは少し悩んだ後そう言った。


その後遊んでる僕達を見て「楽しそうね」と微笑みながら言っていたらしいが僕はカイトとの遊びに夢中になっていたのでそれを知ることは無かった。


僕は初めて知った。親から愛されていることがこんなに嬉しい事だと。


兄さんと遊ぶのがこんなに楽しい事だと。


この時の僕は前世の母さんの事なんて頭にすらなかった。


--------------------


読んで頂きありがとうございます。


今日もう一話出せたら良いなと思っています。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る