第一章
第1話 転生
いつも思うこの世界はどうしてこんなに不平等なんだろう。親から愛され皆からはチヤホヤされて生きる人
そこまでじゃなくても毎日笑って過ごせるそんな何不自由なく生きれる人がたくさんいるというのに
僕のように何一つ持たない───いや持てなかった人だっている。
不幸と幸福は平等はどうして平等に振り分けられていないんだろう。別に人気者になりたいとかいう
高望みをしてるわけじゃない。友達がいなくたって良い。
ただ...ただ親にだけは愛されたかった。
まっ...今思っても遅いかな....。今にも消えそうな意識の中僕はそう思った。
僕は母さんに殺される。もう助からないだろう。別に抵抗なんてしない、生きてても楽しくないから。
母さんは口を開けば罵詈雑言、毎日のように僕を殴ってきた。父さんはぼくが生まれた時からいない。
今日、母さんはおかしくなった。発狂したかと思ったら唐突に僕に襲いかかっき、首を力いっぱい締めてきた。
未練なんてない。いつもどこかで死にたいと思っていたから。
僕の人生楽しいことなんてなかったな...。
親から愛情を感じたことなんて一度だってない。学校でも友達一人出来なかった。
当然だ、うちは貧乏だったから毎日風呂に入るなんて出来ず服だって洗えなかった。
そんな生活をしてたら当然臭う。学校でもすれ違う人はみんな鼻を摘んで避けて通る。
それはまだ良いんだ僕だって自分から離れたいと思ってたから。
でもまれに暴力を振るってくる奴らがいた。先生も僕を助けてはくれなかった。きっとやばい家の息子だから関わりたくなかったんだと思う。何度も死のうとしたけれどいつも後一歩勇気が出ず結局諦めていた。
「あんたなんか産まなきゃ良かった」
吐き捨てるかのように言う母さん。
視界が霞んで何も見えないもう苦しいと言う感覚さえも無くなり始めていた。
そんな中でもその言葉は──その言葉だけははっきりと僕の耳に入ってきた。
そんな事最初から知っていた。でもこうもはっきりと言われるとやはり相当きついものがある。心が締めつけられて苦しかった。
ほんと災厄な人生だった.....。
僕は最後に一粒の大きな涙を流し完全に意識が無くなった。
地獄の日々がやっと終わる。もう全て忘れられるそう思うと肩の荷がおりもう全てどうでも良くなった。
僕が死んでも母さんは涙ひとつ流さないだろう。それでも良いさもう関係ないんだから。
.....でも少しくらいは悲しんで欲しいな....。
僕は最後にそんな事を思った後、闇へと沈んだ。
※
「オギャーオギャー」
ん?赤ちゃんの鳴き声?
「よく頑張ったなフィオナ」
そう言う一人の男と息切れでもしているのか「はぁはぁ」と息を吐く音がする。
「おめでとう元気な男の子ですよ」
このおばあさん感のある声は助産師さんかな。でもなんでこんな会話が聞こえるんだ。
それにフィオナってどう考えても日本人の名前じゃないだろうし。
僕はそんな不思議な現象にこんがらがってしまった。目の前は真っ暗なままなのに誰かに抱かれているような感覚があった。なんだか硬いけど。
それにしてもさっきから聞こえる赤ちゃんの鳴き声は何なんだ?
それにだんだん喉の辺りが疲れてきているように感じる。
.....まさか!!
不意に頭にこんな事が浮かんだ。
この赤ちゃんの鳴き声は僕自身が出してるんじゃないかって。
「お母さん生まれたの!!」
無邪気な声でそう言いながら誰かが近づいてくるのがわかった。
「ほらカイト弟だぞ」
「弟.....!!」
そのカイトという子がボソッとそう呟いた。きっと嬉しいんだろう。
その声には喜びの気持ちが詰まっているそんな感じがした。
きっと目を輝かしてるんだろうなぁ。
するとさっきから響いていた鳴き声が聞こえなくなった。
真っ暗だった視界が一気に明るくなる。まるで目の前でライトを着けられたかのように。
眩しい....!!僕は顔を横に逸らした。
だんだん目が慣れてき辺りが見えるようになってきた。
状況を把握するため辺りを見渡した。木材出できた家みたいだ。そうして真上を見た時男の顔が見えた。黒色の短髪に黒色の鋭い目、顔には切られたような傷が何個かある。僕を抱いていたのはこの人だろう。道理で硬いわけだ。
周りを見る限り病院とかでも無さそうだ。やっぱり僕は生まれ変わったみたいだな前世の記憶を残したまま。
僕は男の顔を見ていると不意に目が合った。
すると男は満面の笑みで微笑んできた。
正直キモいと思ってしまった。
これが父さんか....。なんだか不安になった。
「オルト変な顔してるけどどうかした?」
女の人の声が聞こえた。多分フィオナという人だろう。
なかなかストレートに言う人なんだなぁ。
「変な顔ってひどいなぁ」
オルトは肩を少し落としながらフィオナの方を向いた。
父さんの腕が邪魔でどんな人か見えないなぁ。母さんの顔が気になるのに。
「あの顔はキモかったわよ」
「父ちゃんキモい!キモーい!」
フィオナとが追い討ちをかけるとカイトも横から追撃をいれた。
オルトは少し顔を引き攣った。二人からのその言葉が意外にきたみたいだ。
「シンと目が合ったんだから仕方ないだろ」
シン、それが僕の名前みたいだ。元、佐藤 朔はシンとなり生まれ変わった。
前世で名前なんてほとんど呼ばれなかったし新しい名前にはすぐ馴染めるだろう。
オルトはフィオナの方に近づき中腰になった。
するとフィオナとカイトが僕を覗くようにして見てきた。
「シンおはよう」
優しく微笑んだフィオナ。
黒色の癖の無い長い髪を一つにまとめ、黒色の優しい瞳をしている。
なるほどこれが僕の母さんか.....なるほどなるほど.....。
僕は心の中で何度も頷いた。
そこそこの美人で驚いたからだ。
「シン、俺が兄ちゃんだぜ」
誇らしげな顔でそういうカイト。
黒髪の短髪に黒色の鋭いくも優しさの残った瞳をしている。
これは絶対に父さん似だ。
それにしても全員黒髪黒目何だか普通だなぁ。
今日からここが僕の家。前世の記憶のせいで少し不安もあるが同時に楽しみでもあった。
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読んで頂きありがとうございます。
今日はまだ出す予定です。
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