イコールの新生活
「俺がコモンズの就職を邪魔した理由か
それを聞きに態々こんな所まで来るとはジャーナリストも暇だな
まぁ良いさ、 暇だし応えてやるか
俺は一応貴族の生まれだ
イコール・ニ・カマゾロフ、 カマゾロフ侯爵家の三男だった俺は
騎士団に送られた、 順調に出世していったよ
出世してカーマン王国で最強の騎士になった俺は勇者コモンズとの
旅に赴く事になった、 魔王討伐の旅だ、 当然苦難の連続だった
辛い事が多かった旅だった、 だがな、 俺の人生で一番楽しかった旅だった
騎士とか貴族とかが下らなく見えて来たんだ
それ程輝いて見えたんだ、 プライムと言う女性にも会えたのが一番大きい
だがコモンズやインフラ、 それから一番認めたくはないが
あのモスマンとか言う訳の分からない魔法使い
奴等も含めて旅は本当に楽しかった
奴等との対話は本当に面白かった、 何処かのダンジョンに潜って
目的を達成した後の酒場の酒は今までに呑んだどの酒よりも美味かったし
酔っぱらって倒れて、 それを笑いあえたことなんて無かった
本当に、 楽しかったんだ、 かけがえの無い思い出だったんだ・・・
話を戻すか、 俺がコモンズの就職の邪魔をした理由
それは騎士団に来てほしかったんだ、 うん? 意外か?
プライムが好きだから仲を邪魔したかった?
そんな訳無いだろう、 とは言い切れなかったな
一番ベストな選択はプライムと別れて俺の所にコモンズが
泣きついて来てくれればよかったんだが・・・
アイツ居なくなっただろ、 何だよ
俺とお前は仲間じゃなかったのかよって
相当荒れたよ、 インフラとかを平民とかいった件はその影響だったな・・・
悪い事をしたよ、 本当に申し訳無かったよ・・・・・
その後にコモンズの指輪が出て来て、 その指輪を持っていた死体に関しては
プライムが殺したんじゃないかって気が気でなかったよ
結果的には違っていて良かった・・・
・・・・・陛下の横領についてか・・・確かに報告しなかったのは悪かったよ
全世界に対する裏切りだった、 だけどさ考えても見てくれよ
俺はカーマン王国の騎士団長だ、 しかしそれは過去の実績からくる者だ
その実績も現場からの叩き上げ、 実務能力は低いんだ
そして騎士団の上の方は実務能力がメインになって来る
つまりカーマン王国が無くなったら俺の出世の目は無い・・・
結局俺は貴族だったって事だ、 名誉欲権力欲からは逃げられなかった
うん? そうじゃない? 陛下の横領を何故知ったのか?
あれは偶然だったんだよ、 モスマンがプライムに殴られてな
それでモスマンは倒れたんだよ、 聖女とは言え
魔力を込めて殴られれば倒れるわな、 で、 モスマンの見舞いに言った時に
陛下とモスマンが話していたんだ、 陛下はモスマンを配下にしたかった
みたいだがモスマンが『しつこいとあの事をバラす』と脅して
陛下が『まさか宝玉の!!』と言いかけて逃げ出したんだ
結局はモスマンのカマかけだったらしい、 その後俺は調べたって事だ
・・・・・で、 この様って訳だ
調べた時に横領の事実を公開すれば
ワンチャン有ったかもしれなかったが・・・駄目だったと言う訳だ
結果として俺は勇者の職探しを邪魔して
王の汚職を黙認した罪人としてこの島に囚われている
北の果ての果て、 絶海の孤島の【新生活監獄】
新生活とは皮肉も良い所だ、 年がら年中の寒さは確かに体験した事はないがね
・・・・・面会? 家族は来なかったよ
プライムは気が触れたと言う事は知っている
コモンズとインフラも来なかった
唯一来たのが一番の気狂いのモスマンと言うのはがっかりしたが
奴に助けられてるよ、 何故って? 差し入れさ
差し入れで色々持ってきてくれてる、 お菓子や果物とか
退屈しない様に本とかな、 前に収監された経験があるらしくて
その時の経験を活かしているらしい
モスマンの自伝を読んだ時は腹抱えて笑ったよ
嘘は言っていないが滅茶苦茶言っててな
本当に笑ったよ、 あの頃を思い出した・・・・・
そうそうこんな事も有ったな、 てな・・・・・
魔王を倒した後の新生活に必要だったのはきっと友達なんだろう
古い友人と連絡を取り合っていれば俺もここまで落ちていなかったんだろうな
コモンズが職探しをしている時に自分から向かっていればよかったのかな・・・
どうなのかな、 でもアイツ、 ウェイターやっているらしいから
戦いからは足を洗ったのかな、 いずれにせよ俺には縁無き話だな
そろそろ面会も終わりだな、 じゃあな
え? 俺はこれから如何するかって?
刑期が終わる迄の20年を出てからの新しい新生活に向けての準備にするさ
じゃあな」
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