第4話 ネタは何にいたしましょう、 LEVEL4
ある寿司屋に新卒の男二人が入っていった。
インターネット上で「ヤバい店99選」という怪しげなサイトを見てやって来たのだ。
引き戸をガラガラと開ける。
店内はいわゆる高級寿司屋のようなカウンター席と、奥の方に座敷があるようだった。
カウンター席に腰掛けると、どうやら大将らしき人が出てきた。
「へい、いらっしゃい!お客さん、うちは初めてかい?」
威勢のいい声に二人はすっかり肩に力が入ってしまった。
「うちは他とは違うからねえ。そんな若造二人で大丈夫かい?随分と度胸があるじゃないか。まあ、とりあえずネタは何にいたしましょう、」
焦った二人は平静を装ってあたりを見渡す。
しかし、さすがは高級店なのかメニューが見当たらない。
視線を上げると壁に四つの札が掛けられていて、それぞれ「上」「下」「左」「右」と達筆な文字で書かれていた。
何のことかよくわからなかったが、二人は安月給の新入社員。お金がないので「上」は高そうだからと、一番安そうな「下」を頼んだ。
すると大将は驚いた目で彼らを見つめ、何も言わずに別室に案内した。
二人が連れてこられたのは入店時に奥の方に見えたあの座敷。
しかし、一向に寿司が運ばれない。
しばらくすると、大将がビシッと決まった仕事着とは程遠いラフな格好で座敷に戻ってきた。
心配になって、
「お寿司はまだでしょうか」
と聞くと大将、
「アワビのお刺身ならございます」
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