第4話 ライプニッツ
『Birne』という街は、王国の外れに位置し、
人は多いが、治安は悪い。
それはこの街に集まるのが、
国を追い出されたものや、犯罪者だったものがほとんどだからだ。
酒場は基本喧嘩する場所だというのがこの街の常識である。
そんなところで男が一人酒を飲んでいる。
髪と髭は白髪かっていて、それなりに歳をとっているように見えるが、
服の上から見える少ない情報でもこの男がただものではないのがわかる。
「おっさんいいもん持ってんじゃねえか」
金髪に最近鍛えはじめましたと言うような体格の若い男が、
男が持っていた刀を指差していった。
「なんだ、欲しいのかどうせ使わんから持っていけ。」
そう言い男は、酒で喉を潤す。
「なんだよ、つまんねえ、なら言葉に甘えてもらっていくぜ。」
男が刀に手を触れた瞬間。
バチィ、と電流が走る音がした。
「痛っってぇえーーーーー!!!」
「あー、すまんすまん言うのを忘れてた、その剣は身の程を知らない人間が触れるとそうやって拒むんだよ。」
「身の程を知らねえだと、それは俺に言ってんのか!?」
「君以外にいないだろう。」
「舐めやがって。」
舐められたことに逆上し男は思いっきり脚を蹴った。
ボキッと骨が折れる音がした。
「がぁ・・・・。お前脚に鉄板でも入れてんのかよ・・・。」
「若造、鍛え方が足りんな。」
周りの客はその光景をいて面白がっている。
いつものことらしい。
「ライプニッツのおっさん、そこまでにしといてあげなよ。兄ちゃんが可哀想だぜ。」
常連らしい一人の客が笑いながら言うと、
「いや、俺は何もしていないんだが・・・。」
と頭をかきながら困ったふりをする。
「お前さんたちこいつの連れか?」
ライプニッツは、倒れている男の横で立っている二人の男たちに聞く、
「いや・・・、」と答える前に、
「すまんがこいつを医務室に連れてってくれないか。」
ライプニッツは優しく言ったつもりだったか、彼の放つ威光にあてられ、
「はい、急いで。」と男たちはそそくさと倒れている男を連れその場を去った。
「こいつはいい剣だ、一体誰のだ。」
一人の男が、ライプニッツの剣を持って周りの客に聞いた。
「・・・俺のだ。」
ライプニッツは驚いた表情を隠せずにいた。
それは周りの客もそうであった。
「あんた名前は?」
「ライプニッツだ。」
「ライプニッツか、じゃあ違うか。」
「違う?」
「いやこっちの話だ。」
「兄ちゃん強そうだが名前は?」
「俺か?アレスだ。」
「アレス。ふっ、『勇者』の名を名乗るとは・・・。
でも、身の程知らずというわけではなさそうだな。」
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