第一章 令嬢の章
1-1 ある令嬢の結末
物語は
「マーリア・ヴァイスブルク様。さすがは侯爵家のご令嬢」
わたくしの、なまえ。生まれたお
「やがては王子殿下と
わたくしの王子様。愛すべき婚約者。
「撫子の君、いつもお
皆にそう呼ばれていた。誇らしかった。
「婚約を破棄してほしい」
あの人は、いつも、気まぐれで、突然で。でも、優しくて。そこが嫌いになれなくて。
「ほかに好きな人ができた」
どうして。
「君の家には謀反の疑いが……」
ちがう。お父様が、そんなことをなさるはずはない。
「禁忌魔術の研究に手を染めるなど……侯爵令嬢のなさることか」
ちがう。そんなことはしていない。お
「おぞましい」
「昔から怪しいと思っておりましたの」
どうして。あんなに、みんな
「魔女め」
ちがう。ちがうのに。どうして
十三の階段を上って。
広場の中央へ
新しい婚約者と一緒に微笑む王子様が見えた。
あぁ、よかった。この嵐の中でも。あの人だけは、「私」を見てくれている。
だから私は最期に、安心して微笑んだのだ。
こうして、悪役となった令嬢は断頭台の露と消えました。
物語はおしまい。めでたし、めでたし。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます