第9話

 世界樹は大きさは尋常ではなかった、見上げても雲に隠れて途中までしか確認できず、その幹の太さは一周するだけで何日もかかりそうなほどだ。


 幹に沿って世界樹を探索していると、巨大な根に隠されるよう根元にぽっかりと開いた穴を発見した。


 穴はここ数年見ていないダンジョンの入り口を思い出させ、彼は周囲を確認した後、ゆっくりとその穴に入っていった。




 穴の中は闇に包まれており、一切の光は無く、前後左右どころか上下の感覚まで無くなるような空間だった。


 五感はほとんど機能せず、今自分が立っているのか、それとも落ちているのか、足を踏み出しても歩いているのかわからない、無重力空間を漂っていると錯覚しそうな中、時間だけが過ぎていった。


 どれだけ時間が経ったのかわからないが、ふと彼の目は光を捉えた。


 その光は徐々に大きくなり、その光が空間を満たすと共に五感も戻り、どこまでも続く真っ白な世界へと彼は降り立った。

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