第5話

 彼はそこに残った魔石を見つめながら一息つく。


 初の戦闘は戦闘と呼べないほどに呆気なく終了した。


 魔石を拾い鞄に入れた彼は、次の獲物を見つける為、再度周囲を観察しながら歩き出す。


 ダンジョン内は広大で深く、未だ全容は解明されていない。


 浅い層でも未だに未発見の道が見つけられ、まるで改装したかのように既存の道が無くなっていたりもする。


 長年の探索によりある程度の層まではどんなモンスターが居るか判明しているが、それも稀にその層のモンスターより数段強いモンスターが探索者を殺して回るイレギュラーと呼ばれる自体が発生することもあり、油断はできない。


 彼は油断無く第一層を探索していく。


 この日、彼はゴブリンを6体倒し、魔石を3つ回収しダンジョンを後にした。


 初のダンジョン探索は彼の心を大きく満たしていた。


 幼少期から憧れたダンジョン。


 あの日憧れた探索者には遠く及ばなくとも、この日彼は確かな一歩を踏み出した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る