第3話

 そして二日後、彼は余裕を持って探索者組合に向かい、探索者講習の受講受付を済ませると、渡された冊子を読みながら講習の開始を待った。


 開始時間が近付くと、他の登録者達も講習室に集まり出してくる。


 近い年齢の者達以外にも、20代、30代くらいと思われる大人達も意外と多く参加している。


 そして講習の時間になると、筋肉質の、見るからに強そうな人が壇上に立ち、全員を見渡した後に話し始める。



「皆さん、こんにちは。

 本日探索者講習を担当することになった足立と言います。

 ちなみに探索者歴は8年ほどになります。

 早速ですが講習用の映像を見てもらい、その後ダンジョンや探索者についての補足説明を行います。

 説明が終わった後は10分間の休憩を挟み、確認テストを行います。」



 足立は全員に聞こえるようにそう言った後、部屋の照明を落とし、映像を流し始めた。


 映像ではダンジョン発生時の悲惨な状況、そこからの復興の様子、組合が作られた経緯やダンジョン法についてが説明された。


 彼は映像を見つつ静かに周囲の様子も観察する。


 真面目に映像を見る者、顔を伏せ眠る者、恐らく知り合いであろう隣の者とひそひそと話している者、映像に意識を向けつつもどんな人達がいるのか観察していると、およそ1時間ほどの映像は終わった。



「はい、というわけで講習用の映像を見てもらいました。」



 足立はそう言うと照明をつけ、また壇上に立った。



「映像を見てもらってわかるように、ダンジョン発生当初は世界中で混乱が起き、多くの被災者が生まれ、復興には多くの時間、費用、人員が必要となった。

 だが今では各国がダンジョンを資源の宝庫と呼び、内部から様々なものを持ち帰り活用し、多くの技術革新が起きている。

 我々探索者と呼ばれる者達はダンジョンに潜り資源を持ち帰る事が主な仕事だ。」



 その後も足立は1時間近く探索者のやるべき事や初心者にありがちなミス等を話していく。



「だいたいこんなとこだ。

 それじゃあ10分ほど休憩を挟んでから、確認のテストをしてもらう。」



 少し気が抜けたのか尿意を催したためトイレへ向かい、すぐ講習室に戻るとテストが始まるまで静かに座って待った。


 テストはさほど難しくなかった。


 何人かテストに不合格していたようだが、ほとんどの人は合格し、本登録証を受け取るための待合室に全員で移動した。


 順番に本登録証を受け取り帰路について行く人達を眺めながら自分の番を待っていると、数十分で彼も呼ばれ、本登録証とダンジョンに出入りする為に必要な探索者カードを受け取り、彼も他の人と同じように帰路につく。


 これでダンジョンに潜れると思うと気分が高揚し落ち着かない為、日課の訓練をしながら心を落ち着かせ、ダンジョンに潜る為の精神を研ぎ澄ませていく。

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