第6話 神と人との座談会(約4名強制)
「はい!始まりました第一回座談会!今日は一般リスナー向けではなく神域のみんなに向けての配信だよ!」
「なんでこんなにテンション高いのさ…僕干し柿作りしようと思ってたのに…」
「いやせっちゃんそれはどうなのさ」
「えーと?ゲストは戦神ミツルギ様、伊邪那美様、佑那ちゃん、長谷川優子さん、藤岡博子さん、巽彩弥子さんとなってます」
「帰っていいか?」
「「待って!?」」
「紹介がないなら帰っても良いと思うんだが」
「最後まで聞いて!?なお、ジャッジと解説として兄者さんです。あと、後半で別の座談会あるから帰らないで!?」
「何かあった時の暴走鎮圧役だな」
「はい!まずはこちらのお便り!『ゆーちゃんのここが凄い!ってのを挙げてください』だって」
「えっ?むしろ聖人よりも聖人している事じゃない?」
「樹神様、それだとすぐに終わっちゃう…」
「他にもあるでしょ?私たちに対して信仰とかではなくても敬い感謝を常時絶やさない。私たちがやらかしてもだよ?あと母性が凄い「ストップ!みんなにあげてもらう企画だったでしょ!?」…あー、ごめんなさい」
「こんな時にこのハリセンで殴れば良いんだな?」
「叩くんだよ!?握り込んでいる部分でナックルアタックはダメだよ!?」
「……そうか」
「「…やる気だった…」」
「ゆーくんの凄いところで出た母性…確かに凄いな」
「最終的に慈母にした理由がね…」
「聖女から聖母とか、姫巫女とかだとねぇ…単一職や唯一職のインパクトの絡みで慈母決定したし」
「癒すという点においては姫巫女は格が足りないし、聖母はどちらかというとそれが終着点にならないから。まあ、聖女、聖母、慈母、女神って選択肢もあったかもしれないけど、色々時間がね…」
「はい!話を戻してここが凄い!は?」
「友紀兄さんは料理が凄いです」
「間違い無い。半年前だったか…解呪案件で時間がかかったからと一緒に岩崎…友紀くんお勧めのお店に行ったんだが、絶品だった。しかも店長が出てきて友紀くんに「師匠!お久しぶりですっ!」って。友紀くん苦笑していたなぁ…」
「それって柳さんのところですか?」
「佑那ちゃん知ってるの?」
「あ、はい。有名ホテルの総料理長だった人なんですけど、結羽人兄さんの友達で静留さんという人が一度連れてきていて…」
「その時俺はいなかったな…」
「まあ昼だったし、兄さん帰ってきた時にはあの人友紀兄さんの信者になっていたから」
「ゆーくん信者どれくらいいるのさ…」
「僕調べた!崇めているとかそのレベルの話なんだけど信者36000人位だよ」
「それが多いのかどうか…」
「あと、尊敬レベルなら600万人規模超えてる」
「まあ、架空の人物説まで出ているしなぁ…」
「面白い話していい?まあ、ゆうくんの凄いって部分にもなるから良いと思うけど」
「何だ?」
「少なくとも現在いる人間の中で宗教でも無いのに信仰集めすぎてマイヤにプールしているレベルなんだよ」
「は?」
「えっ?待って?じゃああの神力ってどこから?」
「身の回りの人とか私達?」
「私達から崇拝されて、それに気付かず私達を敬って私達が回復して、また私達が…どんなループ!?」
「で?その料理長は友紀を崇拝するきっかけは?」
「あ、軌道修正した。ええっと、教えてもらうって事でフランス料理のラタトゥイユとビーフシチューを兄さんが作って柳さんに食べてもらったら…膝から崩れ落ちた」
「いや何故?」
「よどみなく調理して尚且つ手間を惜しまない。食べてもらう人のことを思って作っているって。しかも技量に関してはすぐにでも友紀兄さんを主戦力にしたいって…」
「他には?」
「修行時代の住み込みで働いていた頃のおかみさんが作った味を思い出した。自分が求めていたのはそう言った料理だったんだ…って泣いてた」
「ぇえー?」
「…だから師匠。か…フランス料理だけではなく家庭料理もメニューにはあったな…」
「あ、でも凄い料理人とは言ってないからね?兄さんの料理人に対するハードルはちょっとおかしいから」
「で、その柳って人も作って見せたのか?」
「うん。兄さんすごく喜んでいた勉強になるって」
『うわぁ…』
「今ではそのレベルの料理を学校給食感覚でバンバン作っているんだから怖い…」
「私達はゆーくんの料理が食べられなくなったら…」
「絶望しかないよ!?だから農場班の神々があんなに張り切っているんだからね!?」
「ゆうくん日に日に増えていくあのおかしな量に頭抱えているのに…」
「次のお便り『部長さんはフランスで無茶苦茶引き止められたとは?』って」
「国際問題になるレベルで引き止められたの」
「はあっ!?」
「救国の英雄とかこんな逸材を帰すなんて何事だ!とか、巫女様の関係者だぞ!今後のためにもこちらに移住してもらえ!とか…絶対に逃さないって感じでチケットも取れないし」
「うわぁ…」
「その騒ぎになる前に土産はもらっていたんだけど、子供を使って情に訴えかけるとか、イケメン使うとか…幸いなのは悪い扱いができないからスパイ容疑関連での拘束ができなかった事ね」
「でも、どうやって脱出を?」
「上の結論として「巫女様にこの事が知られてしまった場合のデメリットがえげつなさ過ぎる」って判断したみたい。およそ24時間掛かってその結論よ?私その間なにされるか分からないから寝れなかったし」
「馬鹿なのかな?すぐに分かれよ」
「まあ、そこまで得難い人材だという事ですよね」
「佑那ちゃんが良い子すぎる…っ!あと、国からも申し入れした際は滑走路が襲撃で使えなくなっているので暫くは〜って言い訳を」
「実際は?」
「全部ではないけど使えたわ。そのことを聞いて防衛省の知り合いに写真撮って送ったからブチ切れて専用機送る話まででたみたい」
「複数箇所で火種が…」
「ショタっ子を用意しておけばあるいは…」
「ないからね!?」
『兄者様、兄者様。お隣の公開スタジオまでお越しください』
「あ、お客さん到着したみたいだね。兄者さん専用座談会特別編だよ!」
「客?」
「三名…厳密に言えば二名は残滓に一時的な形を持たせた感じだけど、もう一人は今も居る人物さ」
「結羽人兄さん行ってらっしゃーい」
「ああ。女子会がんばれ」
「女子会て…」
「失礼します」
「いらっしゃい」
「ようこそ」
「歓迎するぞ」
「…まさかの神々の悪戯」
「まあ、見た瞬間に何となくわかるか」
「仏教、キリスト教、そして道教の開祖ですか…」
「まあ、私は新教団を建てた以上仏教としては仕方ないけど、イエスと李氏は少し違いますよね?」
「まあ、私はユダヤ教の一派閥…としてだったはずなんだけどなぁ…」
「儂はそれ以前の問題じゃな。何がどうしてこうなったものか…」
「それだけお二方の功績が、功徳が高いということでは?」
「さて、李氏と君以外は厳密に言えば死者だ。気にすることなく神々の用意した席で座談会というものを始めようじゃないか」
「よろしくお願いします」
「話すことか…世界の現状からかのぅ?」
「ですね…一言で言うならばどうしてこうなった。ですかね」
「まあ、昔から争い事は絶えなかったし、我々はどちらかと言えば敗者だ。否定する者はいるかも知れぬがな」
「処刑されたと言う意味では」
「国を追われたという意味では」
「ほれ、落ち込むな。釈迦殿に至っては儂より年上だろうて」
「───失礼」
「しかしこうなった部分に関しては思う事があるのでは?」
「まあ、世界の自浄作用と悪魔や他世界の悪が我々の教えを逆手に取った…と言うべきですか」
「自浄作用なぁ…確かに」
「一定数増えると激減させるという?」
「そうそれじゃ。疫病や戦争、飢饉などで調整してくるのだ」
「そうなるのは数千年以上先だと思っていたんですけどね…」
「文明の急発展を甘く見ていたと」
「人というのは良くも悪くも素晴らしいと言う事じゃな」
「あと疫病と戦争は大体セットだよねぇ」
「ああ、そうですねぇ…昔は不衛生から病が流行っていたから教化の一環で指導していたんだけどなぁ」
「私は宗教戦争の危険性や国家肥大に対する危険性も少し…まあ、処刑されたのはユダヤ教に対するあてつけだけどね。私はユダヤ教の別派から嫌われていたし」
「考えの偏りが不幸を引き起こすから調和を大切にしなさいと遺したはずなんだが…」
「昔からそうだと思うのですが、言葉の後ろに(ただし自分を除く)という文言がつく人物が多いですよね」
「「「あー…」」」
「昔も今も変わらないですね」
「そう言った輩が無理解や欲望で小競り合いを起こし、時には戦争にするからなぁ」
「学ぶ楽しさと中道の教えは…」
「同じことを記していましたが、一割も理解されておらぬなぁ」
「…曲解されていますが、何か?」
「「「はぁ…」」」
「ああ、弟から黒糖あん饅頭と煎餅を預かっていたな…どうぞ」
「すべて植物由来のようですが…おお、おお!」
「では私も…んんっ!?甘い!」
「いやあ、これは良い!」
「お茶もどうぞ」
「発展しすぎた文明を全否定するつもりはないが、ここに居る全員同じ事を言うておるよな。自制せよと」
「自制…自重…」
「釈迦?目を逸らさないようにね?」
「君もね?」
「ほっほっほっほ…では儂は煎餅を…」
「「あっ!?」」
「まだまだありますのでご心配なく」
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