第16話 氷属性のジャイアン3

前回のあらすじ


ムジュラの仮面は怖い。




ルドラの秘宝の最大の特徴『言霊システム』。


これがなにかと言いますと、

自分でオリジナルの魔法が作れちゃうっていう画期的システムなのです。



自分が考えた最大六文字?の魔法の名前を入力すると、

勝手に属性とか威力とか消費PPが決まるっていう感じです。

もちろんエフェクトとかも代わります。


まじで、どんな文字でも入れていいのです。



すごくない?これ、スーファミでやってたの。

オーパーツ的だなと思うのですが。知名度とタイミングが噛み合わないと日の目を見ないという悲しさを感じます。




んで、当時まだ一応キッズだった私は、

もう考えうる限りのかっこいい呪文を作りました。

物語を進めるのも脇において、もっぱらオリジナルの魔法を作ることにハマる。当然ですよね!




ですが、これが意外と難しいのです。

法則性はあるらしいが、そのヒントはストーリー上に隠されているので、

当てずっぽうだと、あまり強いものが作れません。


なんかの属性魔法になるだけで御の字。

基本は、上からその文字が石になって降ってくるだけっていう、シュールな技になります。


たとえば「ガソスタ」って魔法作ったとして、それがスカ魔法だと、


キャラが「ガソスタ!」って叫んで


『ガ』『ソ』『ス』『タ』って石が4つ落ちてくると。


たしかに言霊感はありますけど、求めてるのはこれじゃない。




んで、うまいこと作れないし、オリジナル魔法がスカだと面白くないので、

戯れに身の回りにある文字列を入れ始めるわけです。



それで、ちょうど私ドラえもんにハマっていたので。

「ジャイアン」って入れました。



すると、意外なことに「ジャイアン」は氷属性だったのです。

一番予想外です。氷属性ってのは出来杉辺りが使うべきやつです。


しかも、凍結効果までがあってハチャメチャに強い。




この言霊システム、作れる魔法にレベルキャップとか制限とかがないので、

強い魔法が作れちゃうと、それだけでゲームが終わってしまうような

バランスブレイカーなんですね。




この世に「ジャイアン」ですべてを解決するゲームが誕生した瞬間です。




私のかっこいいキャラたちは、どんな敵にあっても、どんなにピンチでも、ひたすら「ジャイアン!」って唱えます。


仲間を救う「ジャイアン」

ボスをやっつける「ジャイアン」

世界の危機を救う「ジャイアン」


私はジャイアンに最大の信頼を置きました。


私のルドラはジャイアンゲーと化しました。


サンキュー氷属性のジャイアン。

お前がチャンピオンだ。




後年、ルドラの秘宝のことをふと思い出して、攻略サイトとかあるのかなとぐぐってみる機会がありました。

そしたら、魔法の作り方ってのがありました。



なんでも、接頭語とかの色々な仕組みを使うと、高コスパで全体回復するとか、ハチャメチャに強い魔法だとかが作れるのだそう。


でも、そこに羅列されていたのは、意味不明な六文字の言葉でした。


「なにこれ、まるで呪文じゃん」


まるでどころか、呪文そのものなんですが。


でも、当時に攻略サイトがなくてよかったなと思いました。

おかげで、まず間違いなく世界で自分だけの思い出ができたのですから。




15分です。


ルドラの話は、ようやくおしまい








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