泣きたい時に空は頼れない

八月一日茜香

第1話 泣きたい時に空は頼れない

私は多分、泣き虫だ。ある日それを友達に言うと

「いやいや、あなたで泣き虫だったら私たちはやばいからね?!」

「まじそれな」

と返されることが多い。理由は分かっている。友達とか、他の人の目があるところでは笑顔だから。道化師のように笑顔の仮面が張り付いているから。いつからこんな風だったのかは覚えていない。そしてそれを普通だと思っていた私の感性は、普通じゃない。小説やアニメでは、こういうキャラは「息苦しい。しんどい」となって、そして周りに気づかれる。が、私は、この仮面を気づかれたことは無いし、息苦しくもない。だけど、その反動なのかは分からないが一日中、泣き続けてしまう日がある。その日は大抵、土日なので親以外にバレたことは無いけど。でも、今日は木曜日。部活がなく、人がいない道を通って帰っていた時に、泣き始めてしまった。生憎なのことに空は清々しい程の晴天だ。涙を隠す言い訳もできない。しばらく歩き、急いで人気のない公園まで行く。そこの入口にあるベンチに背負っていたリュクサックを下ろして、腰を下ろす。ふぅっと息をついて空を見上げる。雨雲は一切ないし、かかる気配もない。私はぼぉーっとして、ポロッと口からこぼれたのは

「やっぱり、うちは泣き虫だ」

だ。そして、空を睨みつけ、心の中で「(なんで、泣きたいときに空は味方してくれないの)」諦めと苛立ちを込めて嘆息をついた。

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泣きたい時に空は頼れない 八月一日茜香 @yumemorinokitune

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