第44話 気づいたら外堀が埋まっていた(逃げられない

「春人くんの膝枕……気持ちいいです……」

「そうなのか……?」


 俺の部屋で、亜美に膝枕をしている。


 きれいなさらさらの髪。


 ジャンプーの匂いがする……


「次は……頭をナデナデです」

「え……?」

「ダメですよ、春人くん。今日は【何でも】言うことを聞く日なんですから」


 亜美の髪を触るのが、なんとなく恥ずかしかった。


「わかってるよ」

「ならいいんです。さ、ナデナデしてください」


 すげえ柔らかい……


「くっううううぅっっ……! 気持ちいいです♡」

「そんなに気持ちいいのか……?」

「すっごく幸せです。これから毎日やってください」


 目がガチだ。


 本当に毎日ナデナデしないとヤバそう。


「さ、いよいよ添い寝タイムですねー」


 亜美は起き上がってから、俺のベッドに寝そべる。


「はぁぁ……春人くんの匂いがしますー」


 亜美が俺の枕に顔を埋める。


「ば、バカっ! 何やって……」

「くんくんくん! 春人くん、恥ずかしいですか?」

「ちょっとね……」

「ふふ。罰ゲームなんですから我慢しなさい」


 ベッドの上で、人気美少女ライバーが俺の匂いをクンクンしている。


 恥ずかしくないわけない。


「さあ。早く隣に来てください」


 俺は亜美の隣に寝そべった。


 少し緊張してきた……


「少しぎゅっとしてもらえませんか?」

「ぎゅっと……?」

「春人くんに抱きしめてもらえたら落ち着くから」


 俺は亜美の身体を、腕に抱いた。


 あったかくて、柔らかすぎる……


「うっ……なんだか急に眠く……」


 俺は強い眠気に襲われる。


 な、なんだこれは……?


「春人くん。おねむなんですね。ゆっくり休んでください……」

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