第43話 勝った方の言うことを何でも聞く※ただしえっちなお願いはダメ

 期末テスト返却日。


「ふう……なんとか赤点は回避したわ。春人は?」

「うん。俺も生き残った」


 全教科、平均点は取れた。


「なんだよっ……! 俺より全然いいじゃねえか!」

「たまたま」

「クソ陰キャのくせにー」


 悠介とじゃれあっていると、


【すげえよ……宮本さん】

【かわいくて頭もいいんだ】

【強すぎる】


「なんだろう? 行ってみようぜ」


 悠介に言われて、俺たちは廊下へ出た。


 成績が張り出されているところに、たくさんの生徒がいる。


「マジかよ……! 宮本さん1位じゃん!」

「すげえな」

「人気ライバーでかわいくて成績も1位って超人かよ」

「たしかになー」


 あんなに忙しいのに、いつ勉強していたんだろう。


 陰で努力するタイプみたいだ。


「春人くん! あたしの勝ちですね!」


 亜美が声をかけてくる。


「そうだな。すごいよ、亜美」

「す、すごいだなんて……春人くんに褒められてしまいましたっ……!」


 顔が赤くなっている。


 もしかして、ストレートに褒められるのに弱い?


「約束、忘れてませんね?」

「うん。何でも言ってよ」

「じゃあ……あたしと添い寝してもらって、それから——」

「待って。えっちなお願いはダメなんじゃ?」

「? 春人くんにとって【添い寝】はえっちなことなんですか?」

「いや、そういうわけじゃないけど……」

「【泥棒猫】には添い寝できて、あたしにはできないんですか?」

「ど、泥棒猫って……?」

「あ、ごめんなさい。こっちの話です。忘れてください」

「……?」

「とにかく、まず添い寝してもらって……」

「お願いって、1つだけじゃないの?」

「1つだけなんて言いましたっけー?」


 不敵な笑みを浮かべる亜美。


 どうやら俺は、罠にかかったらしい……



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