第39話 破滅へまっしぐら☠️ 冬乃視点

「これが動かぬ証拠です」


 ——夜、冬乃が教室に忍び込む映像。


「木曽川さんが、春人くんの机に体操着を入れていますね」


 暗いのに、はっきりと冬乃の姿が映っている。

 

 暗視カメラを使っていた。


「ここに映っているいるのは……木曽川冬乃さん、あなたですね?」

「くっ……」


 顔も映っているから、別人の可能性はない。


(ど、どうやって逆転すれば……)


「あなたの罪を認めなさい」

「…………」


(あ、いいこと思いついた!)


「宮本さん。どーしてその映像を持ってるの? まさか学校に隠しカメラを仕掛けてるの?」

「それは……」


(この【イカれ女】は墓穴を掘った……ざまぁ!)


 冬乃は勝利を確信した。


 しかし——


「この学校の監視カメラですよ。これは警備員さんにもらった映像です」

「え? そんなものどこに?」

「ほら、あれです」


 教室の天井に、丸い監視カメラがついていた。


「いつのまにそんなものが……」

「先週、学校のセキュリティが強化されて、設置されたものです。知らなかったのですか? アホですね」 

「そ、そんなの嘘よっ!」

「嘘じゃありません。なんなら校長に聞いてください。先週からカメラをつけていましたから」


 冬乃は劣勢になる。


(絶対、監視カメラなんてなかったのに……)


「……それより、木曽川さんは春人くんを陥れるために体操服を仕込んだことがわかりました。もうあなたの居場所は学校にありません。【自主退学】してください」

「いやよ。誰が退学するもんですかっ!」


『木曽川、マジキモイわ』

『最低すぎ』

『さっさと退学してほしい』


 クラスメイトからも責められる。


「は、嵌められたっ……」


 今更気づいたところで、もう遅かった。



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