第38話 幼馴染はバレバレでした☺️ 冬乃視点

「嘘じゃないでしょ! これはあたしの体操着よ!」


 あたしは春人の机の中から、体操着を引き出した。


「俺は知らない……なんでだ……?」


 あっけに取られている、春人。


「ほら! みんな見て! あたしの苗字【木曽川】の刺繍があるじゃない!」


クラスメイトが集まってきた。


「おとといの体育で使ってから行方不明になっていて……春人が盗んだのね!」

「違う! 俺はやってない!」

「いつもあたしの体操着姿を、いやらしー目で見てたじゃない!」

「見てるわけねえだろ」

「嘘ね。体操着の臭いを嗅いで【ひとりで変なこと】していたんでしょ! 最低! 変態!」


(あたしの体操着で変なことする春人……ちょっといいかも……)


 優越感に浸る冬乃。


「ふざけんな。そんなことするか!」


 おとといの体育で使ったままの体操着を入れた。


 冬乃の汗がしっかり染み込んでいる。


 春人を変態にするため。


(あたしって頭いいー!!)


『嘘でしょ……春人くん』

『キモい。幻滅した』

『変態じゃん。ケーサツ呼ぼう』 


 クラスメイトたちがざわつく。


(ふふふ。これであたしの勝ちね……!)


 冬乃は勝ち誇った顔をする。


「みなさん。落ち着いてください。木曽川さんの言っていることは、全部嘘です」

「なーに言ってんのよ。動かぬ証拠があるのよ」

「ふっふっふ。動かぬ証拠ならこっちもあります」

「えっ……?」

「みなさーん、この動画です」


 亜美はスマホをクラスメイトに見せる。


「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」


 ——冬乃の破滅が始まった。


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