第37話 幼馴染に冤罪を押しつけられる

 朝の教室。


「春人! 昨日配信見たぞ! すげえ面白かった!」


 悠介がやって来た。


 ライバーになってから、もう毎日だ。


「マインクラフトズ、上手いだな。再生数エグいし」


 昨日のマインクラフトズのプレイ配信は、割と上手く行った。


 事務所の社長に、


『同接が200万よ! 春人くん、ライバーの才能あるわ!』


 かなり褒められた。


『チャンネル登録者数も30万人超えたわね。1ヶ月ですごいわ』


 順調に俺のチャンネルは伸びている。


『企業案件がたくさん来てるから、これから忙しいわよ!』


 仕事の案件が俺に山ほど来ているらしい。


 チラチラチラチラ「…………」


 冬乃がまた俺をチラ見してくる。


「おい、春人。また冬乃がこっち見ているな……ちょっと変だよ。あいつ」

「まあな……」

「彼氏の太田にも捨てられたし、今はじゃ学校で友達一人もいないみたいだし」

「へーそうなのか」


 俺は冬乃に、まったく興味がなかった。


 最近、学校もあまり来ないから、存在を忘れていた。


「ないないないっー! あたしの体操着がなーい!」


 冬乃が騒ぎ始めた。


「いったい、あたしの体操着ちゃんはどーこ?」


 冬乃は教室を歩き回る。


「ねえ、あたしの体操着知らない?」

「いや、知らないけど……」


 クラスメイト1人ひとりに、聞いていく。  


 で、俺のところへも来た。


「春人。あんた、あたしの体操着知らない?」

「知るわけないだろ」

「なんかあやしーわね。机の中、見せて」

「は? 嫌だよ」

「なんでよ? やましーことがあるんでしょ?」

「ねえよ」

「じゃあ見せられるわね?」


 めんどくさいな。


 さっと見せて、終わらせるか。


「……わかったよ。見ろよ」

「じゃあ、遠慮なく。……え? これ、あたしの体操着じゃん」

「嘘だろ」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る