第33話 春人くんを守るため 亜美視点

 春人くんとのデートの後、


 今度、海に行く約束をしました。


 本当は夜まで一緒にいて……


 とっくにあたしは身を捧げるつもりなのに、


 春人くんはあっさりあたしを帰してしまいました。


「せっかく準備していたのに……」


 特別な下着をつけていました。


 身体が少し透けて見える下着です。


 春人くんが喜ぶと思って。


「次こそ、春人くんに初めてを奪ってもらいます」


 そのために、外堀をどんどん埋めていかないといけませんね。


 【既成事実】をたくさん作ってあげましょう。


 あ、そうだ。


 あの【クズ幼馴染】に電話しておかないと。


「もしもし。冬乃さん」

「……え? 宮本さん、どうしてあたしの番号を?」

「あたしは何でも知ってますから」

「ほんっと【異常者】ね……」

「春人くんへの愛ゆえです」

「で、何の用なの?」

「冬乃さんの計画のことです」

「は?」

「とぼけても無駄です」


 性悪女はシラを切ろうとしてます。


 絶対に逃しません。


「正直に言いなさい。今、白状すれば許してあげてもいいです」

「何のことかわかんないわ」

「……はあ。じゃあ言いましょう。冬乃さんの【春人完全冤罪計画☠️】のことです」

「…………どうしてそれを?」

「ふふ。あたしは何でも知ってますからね」

「アレはあたしのパソコンの中にしかないはず……どうしてあんたが知ってるわけ?」

「あたしには有能な【監視班】がついています。冬乃さんのリアルもネットも、すべて把握しています」

「つっ……このぉ、あたおか女ぁぁ!」

「これ以上、春人くんに近づくと、すべてバラしますからね」

「くっ……うっ……お願い。バラさないで」


 あたしの勝ちです。


「冬乃さんのことは【監視班】がいつも見てますからね。早く消えなさい」

「クソおおおおおおおおぉぉ!!」


 クズ女の断末魔です。


 あたしは電話を切りました。


「春人くんは、あたしが守ります。どんなことをしても」



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