第31話 幼馴染、告ってくる

「春人……偶然ね。あたしも買い物に来たの」

「嘘だろ」

「春人くん、この女は……」


 ヤバい。


 亜美から殺気が。


「あたしたちをストーカーするのはやめてください。ストーカーは犯罪です」

「は? あんたこそストーカーでしょ? 春人のために転校までしてきて、マジあり得ないし」

「冬乃。俺に嘘告して振ったくせに、今更何の用だ?」

「えーと、それは……」


 冬乃が口ごもってる。


「きっと良からぬことをしようとしていたのでしょう」

「そ、そんなわけないわよ」

「春人くん、安心してください。あたしがそう遠くない日に【処分】しておきますので」


 亜美の目がガチだ。


 まるでどこかの暗殺者のような。


「用がないなら帰ってくれ」

「あるわよ」

「どんな?」

「春人。あんたのことちょっとだけ好きになったわ。付き合ってやってもいいわよ」

「「………」」


 冬乃のあり得なさすぎる発言に、俺と亜美は絶句した。


「ほらほら。早く『YES』って言いなさいよ。幼馴染の冬乃ちゃんに彼女になってほしいって。『今まで蔑ろにしてごめんなさい』と言いなさい」


 なんだ?


 このウエメセ発言は……?


 めっちゃ自信満々のご様子。  


「俺は……」

「付き合うんでしょ? いいわ。付き合ってあげる」

「付き合えない」

「聞こえない。もう一度」

「俺は冬乃とは付き合えない」

「あーあー! 聞こえない聞こえない!」

「春人くん。こいつの首を折っていいですか?」

 


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