第22話 他の女の子が来ましたか?

 ピンポーン!


「春人くん! お菓子作ってきました!」


 土曜日のお昼。


 亜美が部屋にやって来た。


「ごめん! 今、ちょっとトイレで……」

「……もしかして女? 女ですか? 女と一緒にいるんですか?」

「え? 違うけど……」


 ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン!


 インターホンが鳴りまくる。


「そんなに鳴らしたらヤバいって……」


 俺は焦ってドアを開けた。


「ごめんなさい! 春人くんが強盗に監禁されていると思って心配になって」

「いやいや……普通にトイレ入ってただけだから」

「今日はお菓子作ってきたんです!」


 亜美はショートケーキの入った箱を見せる。


「これ自分で作ったの? すごいね」

「あたし、駅前のお菓子屋さんでバイトしてるんです」


 俺は甘い物が好きだ。


 これは有難い。


「じゃあ、上がって一緒に食べよう」

「あ、ありがとうございます……! あたしなんかを、誘ってくれるなんて……!」


 めっちゃくちゃ喜ぶ亜美。


「うん?」

「どうしたの?」


 亜美が玄関で立ち止まった。


「女の子の匂いがします……」

「そ、そうかな?」


 どうして俺は焦るんだ?

 

 亜美とは付き合ってないのに。


「この部屋に、他の女の子を上げましたか?」


 じっーと、俺を見つめてくる。


「えーと……こないだ、後輩の女子が来て」

「それで?」

「悩みがあったみたいで、いろいろ相談に乗っていたんだ」

「ふーん……」

「別に変なことあったわけじゃないし」


 ちょっと変なことあったけど……


「……変なこと、本当になかったんですね?」

「そ、そうだよ」

「わかりました。でも、今後は他の女の子を部屋に入れるのは、やっ、ですからね」




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