第18話 突然の電話 亜美視点

「もしもし。1年B組の桜庭瑠奈さんですか?」

「そうですけど……どちら様ですかぁ?」


 甘ったるい高めの声。


 ……かわいいですね。


 いかにも男の人が好きそうな声です。


「春人くんの隣の席にいる、2年A組の宮本亜美です」

「あっ……こないだ転校してきた宮本先輩ですね」

「そうです」

「えーと……どうしてあたしの番号、知ってるんですか?」

「私も、穏便に済ませたいと思っています」

「え? 何?」

「……とにかく、春人くんにこれ以上近づかないでもらえますか」

「あーなるほどですね。宮本先輩って……市川パイセンの彼女なんですかぁー?」

「いえ、まだ彼女とかじゃ……」


 電話越しに、ふふんっと鼻で笑う声が聞こえます。


「だいじょーぶですよ! あたしと市川パイセンはただの先輩後輩っす! 心配しなくても、市川パイセンを盗ったりしませんよー」

「約束してくれますか?」

「約束するっす!」

「絶対に破らないでくださいね……」

「はーい!」

「信じてますから」


 あたしは電話を切りました。


「……桜庭さん、春人くんのこと好きですね」


 女の勘はよく当たります。


 はぁ……とため息をついてしまいますね。


 あ、特定版から報告が来ました。

 

「桜庭瑠奈。15歳。身長145センチ。体重40キロ。胸のサイズはCカップ……」


 あたしは自分の胸を触りました。


「ふふ……胸はあたしの勝ちですね」


 神様に感謝です。


「春人くんはあたしが守ってあげます……必ず」



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