第16話 幼馴染の絶望 冬乃視点

「クソクソクソ! なんでメッセージが【既読】にならないのよ!」


 冬乃はスマホを床に放り投げた。


 春人にメッセージを送りまくっていたが、まったく【既読】がつかない。


 さらに【鬼電】もするが、春人は出ない。


「酷い……幼馴染のあたしを【着信拒否】だなんて」


 SNSも動画投稿サイトもすべてBANされた。


 新規アカウントを作ろうとしても、運営に捕捉されたせいで、すぐにBANされる。


 しかも、某巨大匿名掲示板では……


【嘘告幼馴染、冬乃監視スレpart36】


 50:名無しの監視さん

 Ztubeに冬乃らしき垢を確認。通報しますた。


 51:名無しの監視さん

 今日も冬乃ブスだったわwww


 52:名無しの監視さん

 冬乃の住所特定した。


 住所が特定されたせいで、冬乃の家にピザが届いたり、デリヘルが来たりした。

 

「おかげでめっちゃくちゃ親に怒られたわ……」


 クラスメイトも冬乃を避けて、今まで周りにいた陽キャたちも離れて行った。


「全部、春人のせいだ。春人がバズったせいで……」


 教室の隅っこで、春人への嫉妬に狂っていると、


「冬乃、ちょっと来てくれ」


 一緒に春人を嵌めた冬乃の彼氏、太田に呼び出された。


 体育館の裏に行く。

 

「お前と別れたい」

「え……?」

「冬乃と付き合っていると、俺までみんなに嫌われる。だからもう別れたい」

「でも、今、太田くんに捨てられたら……」

「そもそも冬乃が嘘告動画を撮ろうって言い出したのが悪いんだろ。全部、お前のせいだ」

「いや……別れたくない」


 冬乃は泣きそうになる。


「じゃあな」


 すがろうとする冬乃を無視して、太田は去って行った。


「……全部、春人とあの女のせいよ。絶対に許さない」



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1章完結しました!


現在、今作は週間ラブコメジャンルランキング12位です。

ランキングに大きく表示される10位との差はわずかです。

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