第23話
事件から半年後...
「では山神さん、外の環境に慣れていきましょう!
これから散歩行ってみましょうねー」
美穂は施設で順調に回復しているようだが
今でも時々、あの日の夢を見てしまう...
「私、普通の人に戻れるのかな...」
ボソっと言った言葉に
カウンセラーは笑顔で頷いた
「もちろんよ!」
外の空気に久々に触れた美穂は
大きく息を吸い込んだ
「外...久しぶり...」
「少しづつで良いから頑張りましょうね!」
美穂達が歩いていると
黒い車が止まった
車の扉が開き中から出てきたのは
慎也と昇だった...
「美穂ちゃーん!」
美穂の名前を呼び大きく手を振る慎也に
美穂は笑顔で手を振った
慎也と昇は時間を作ってくれて
頻繁に施設へ面会に来てくれていた
初めは人に会うのが怖いくらいだったが
だいぶ慣れてきた
しかし毎回美穂は思っていた
友基の姿だけがない事を...
「美穂、外に出ててたんだねー」
「今日から外に散歩だってー...
かなり前緊張気味...ハハハ...」
「凄いじゃん!
かなり回復してきてるって事だね。おめでとう!」
慎也と昇が来てくれて嬉しいけれど
何か物足りなさを感じてる美穂...
友基の事を聞こうか迷っていると
「山神さん?具合悪い??」
カウンセラーが話かけてきた
急に下を向いた美穂に先生は慌てたのだろう
美穂は頬を赤らめて
「違います/////」
といいカウンセラーに一人で散歩してみたいと
お願いした
「え!?少しでも無理になったら、このボタン押してね!素敵なボディーガードいるから安心か!フフッ」
心配してくれつつも冗談を交えてくれる
カウンセラーは美穂のわがままを受け入れた
美穂は自分の口から
二人に質問をした
「ねぇ...友基はどうして一度も私のところへ来てくれないの?やっぱり私が汚れてしまったから??」
声を震わせながら聞いてきた美穂に
二人は驚いた
今までの面会時には
友基の名前なんて
一言も美穂の口から出たことが無かったからだ
「汚れたなんて思ってないよ!!
仕事とかで色々と忙しいみたい...」
「ホント??.....仕事なら...仕方ないね」
悲しい顔だって分かるくらい
無理やり作った笑顔で言ってきた
そんな美穂を見て
二人は心が痛くなった
「あ、でも友基が言ってた事があるんだけど...
美穂ちゃんに嫌われたって...」
慎也の言葉に理解ができない美穂は
首を傾げた
「美穂...今からちょっと話すけど
具合悪くなったら直ぐ言えよ?
...あの事件のとき、美穂の所へ行ったら
拒否られたって...」
昇からの言葉であの日の事件が
フラッシュバックした...
ドクン!
美穂の中で一生忘れることができない事件
美穂は震えだした
「美穂!?」
受け止めなきゃ!
逃げ出さないで、前に進まなきゃ!!
「あの時は...服がメチャメチャになってて...
汚れた状態の姿を、友基には見られたくなかったの
それで友基に見ないでって叫んだの...」
美穂の目から大量の涙が溢れた
その姿に昇は美穂を抱き寄せ
頭を撫でた
「ごめんな美穂...」
謝る昇に美穂は涙を拭い
「ううん...大丈夫!!私強くなるっ!」
と声を震わせながら叫んだ!
「俺たち応援するのよ!頑張ろうな!!」
心配になったカウンセラーが
3人の元へやってきた
「ごめんね...心配で来ちゃった!」
今の美穂にとっては
長い時間外に居たのだろう
「今日はこれで終わりにしようかな?
来てくれてありがとう!またねーッ!」
美穂は笑顔で手を振り
施設の中へ戻って行った
美穂たちが施設の中に戻って行ったのを見届け
昇が後部座席に向かって話始めた
「オイッ友基!聞こえたか?美穂の声...
出てこいよなー可哀想に...」
実は毎回の面会に
友基は必ず来ていたのだ
しかし美穂に会う勇気がなく
車の中で待っていたのだった
今回は散歩だった為
車の近くにまで美穂が来てくれたから
友基は久しぶりの美穂に会えた形となった
会えた感動
嫌われていない美穂の気持ち
嬉しさのあまり
降りるタイミングを失っていたようだ
昇と慎也は車に乗り込んだ
「美穂ちゃんは友基に会いたいんだよ!きっと...
次はちゃんと会いなよー?」
慎也が友基に話かけるが
先程の事で、まだ余韻に浸っている友基
「両想いかよー!」
慎也が叫ぶがこの声すら
友基の耳には届いていなかった
「出発しますね...」
森さんの言葉で車は動き出した...
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