第12話
次の日の早朝ーー.....
「紗也...今までご苦労様。
給料は明日振り込む...」
「友基さま!何故私がッ...」
「すまない...今までありがとな」
「.....今まで、お世話になりました」
紗也は納得のいかない表情をしながら
送迎車に乗り込もうとしたとき
友基の横に居た美穂を睨みつけた
....睨まないでよぉー
ムカつかれても困る!!
紗也が車に乗り込むと
運転手さんが扉を閉めて
友基に近づいて来た
「それでは失礼します...」
と言い車は出発した
「あ、行っちゃった...」
「何だお前?紗也にいてほしかったのか?」
「まさか!...でも私のせいで
辞めちゃったみたいだから、なんか複雑...てかさ
さっきの運転手さんは誰なの?」
「...あぁー森さん
森一真...会社の専属運転手だが
今は俺たちの運転手として働いてる...
お前の学校に行った時も
森さんに送ってもらった」
.....
そうなんだ...
私勝手に、おじいちゃんみたいな人
想像してた...
森さん、すみません...
美穂が心で謝罪していた時
友基の所にメイド二人が
会話をしながらやってきた
「友基さま、今お話よろしいでしょうか?」
「ちょっと志乃...やっぱりやめようよぉ...」
「光は黙ってて」
ーーー...
所出 志乃
同島 光
友基の家でメイドとして働いている二人
それぞれ専属はいない
「なんだ?話とは」
三人の真剣な顔と視線に
美穂はその場に居てはイケないと
判断をし立ち去ろうとしたとき
志乃が美穂に話かけた
「美穂さんも
居ていいですよ?」
あまりにも低めの声に
美穂は動揺してしまった...
そして
そのまま友基の横で話を聞くことに...
「昨日、友基さまたちが
ダイニングで話をしていたこと、偶然私達が
耳にしてしまったんです...
今までに起きていなかった出来事が
美穂さんが働きに来た事で、どんどん
変わって行っているように思うのですが
何故でしょうか?」
志乃が友基に向かって
質問をしてきた....
しかし友基から出てくる言葉は
志乃が求めている言葉では無かった...
「それがどうかしたのか?
ここは俺の家だ。俺の指示で動かしている!
今、俺の横にいるコイツも
俺の指示で働いているだけだ。
紗也に関しては
慎也が嫌だといったから
このような形になっただけだ」
「じゃあ!昨日言っていた
1000万とは何ですか!?」
志乃と友基の言い争いはまだ続いた...
「何故そこまで言わなければいけない!?
聞く権利もなければ、俺は答えなければいけない
権利もないハズだが?」
「あります!
私たちは5年以上もこの場所で働いています。
今までのやり方と違う友基さまを見ていると
気になってしまい、仕事が出来ません!!」
志乃が友基に伝え終わると
友基は怒りを隠せなかったようだ
「志乃...随分上から言ってるように感じるが?
働いてくれていることには感謝している。
しかし、長く働いているからって文句を言える
立場になったと勘違いされては困るな...
お前も....クビな」
美穂の背中がゾクッとした
またクビ!?
私ここに来て
まだ1日目なんですけど。。。
昨日と今日連続で
解雇を目の前で見るって
ある!?
「光も志乃と同じ意見なのか?」
冷たい視線で光を見ながら話かけていた
「確かに聞いたときはビックリしました。
友基さまと美穂さんの間に
何があったのか気になりましたし...
そして、紗也さんの件も...」
「分かった。光も、もうここで働くな...
今後気になったら志乃のような感情に
なってしまうんだろ?ここで働いてるのに
教えてくれないって...」
....3人目ですか..?
「そうですね...気になりだしたら
同じことを繰り返してしまうかもしれません...」
「そうか。じゃあ二人共...悪い...」
「友基さま!私納得できません!!
質問の何が悪いって言うのですか!?」
美穂は友基の前に向かった...
アイツはなんで何人も直ぐ
クビにしようとするのよ!
もう、見てられない!
「ちょっと!どうしてクビにするの?
好きで働いてくれてるのに
要らなくなったら直ぐポイッだなんて
ひどいよ!」
しかしイライラしている友基に
話しかけてもムダだとは
このとき美穂はわからなかった...
「ね?聞いてん....」
バシッ!!
へ!?...私飛んでるー!!
右ほほイタいぃぃぃー。。。。....
友基が更に美穂へ殴りかかろうとしていた
「オイ友基!殴るのはありえねぇだろ!」
美穂を抱えこみ守ったのは昇だった...
しかし美穂は意識を失っている為
昇に助けられた事は後に知る事になる
意識を失った美穂を見て心が痛くなった昇
「友基...悪いけど
女を殴るのは最低なことだよ...
少し頭でも冷やしたら?
山神さん、意識失っちゃってるから
しばらく僕の部屋で休ませるから」
そう言い残し
昇は美穂のを抱え
自分の部屋へと向かった
「昇さま....」
一緒に歩いていた時に起きた出来事を
隣で見ていた優美が
今度は美穂と昇が一緒に歩いているのをみて
悲しくなってしまった...
更に友基が怒り出した
昇が美穂を自分の部屋に連れて行ったからだ...
「俺の専属とるなーーーーー」
手に負えない状況になったのを見ていた慎也は
大きなバケツに水を入れその水を
友基に勢いよくかけた
バシャーン!!
勢いよくかけられた水は
友基にヒットし全身水浸し...
少し自分を取り戻したようだ
「悪いな慎也...
俺ちょっと部屋に戻るわ」
「お、おう...」
そのまま友基は部屋へと帰って行った
その場に残された
慎也、志乃、光....
志乃が口を開いた
「あの...慎也さま私たち二人はどうしたらいいのでしょうか?」
「そうだな...今後もし、同じようなことが起きても君たちは耐えられるかい?」
二人はしばらく答えられず沈黙してしまった
「...私は耐えられないかもしれません」
「....私も同じです」
「俺が決める事じゃないけど、同じ気持ちになってるなら辞めたほうがいいかもしれないね...」
二人は慎也の言葉に
頷いた
「それじゃあ森さんに俺から伝えておくから...」
「「はい」」
友基が立ち去ったあと
このような事が行われていたとは
次の日まで知ることは無かった...
そして美穂も...
目が覚めた頃にはもう
志乃と光はいなくなっていた...
ーーーーーーーーーー....
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