第11話 決着の時
ここで、一気に決着をつける!
私には、確実に勝算があった。
しかし、守勢に回るかと思われた美冬は、持ち駒の桂馬を静かに3六桂と打った。
王手……ですって…………!?
美冬が逆に攻め合いに転じてくるとは、完全に予想外だった。
「どうして……!?」
私は、3六同歩と指して自分の歩で桂馬を取ることで応じるが、美冬の攻撃は激しさを増していった。
絶対に負けたくない……! 私の方が、絶対に葉山先輩のことが好きなのに……!
しかし、守勢に回らされた側は私の方だった。
そして、やはり静かな駒さばきで美冬は衝撃の一手を放つ。それは、3八飛成による王手だった。
私の玉の真横……すぐ隣に、美冬の飛車が成った龍が生まれてしまった。その瞬間で私の脳天に電流が流れた。
私が自分の玉で龍を取ろうとも、逆に玉を逃がそうとも、私の玉は……残り7手で詰んでしまう。美冬は、その結果まで読み切っているのだ。
私は、あぐらを正座に組み直して深々と頭を下げた。
「…………負けました」
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